腋窩リンパ節の郭清は長胸神経long thoracic nervを損傷することがある。  その結果、肩甲骨のウイングを伴う前鋸筋の筋力低下と、水平位を超える肩の外転障害が生じる。

この患者はlong thoracic nerve長胸神経損傷によるserratus anterior muscle前鋸筋の麻痺を認める。 serratus anterior muscle 前鋸筋は第1~9肋骨の表面から起始し、肩甲骨の内側縁に挿入する。  肩甲骨を安定させ、上方に回旋させる機能がある。  三角筋と棘上筋は腕を水平位まで外転させ、その後、前鋸筋と僧帽筋が関節窩を上方へ回旋させることにより、腕を頭上へ完全に外転させる

前鋸筋の神経は、腕神経叢を経由してC5~C7神経根から発生し、胸壁外側に沿って長く伸びる長胸神経から支配されている。  この神経の損傷は、貫通性外傷や、腋窩リンパ節郭清や胸腔チューブ挿入の際の異所性に起こりうる。  前鋸筋の麻痺は、鋸筋が肩甲骨を胸郭に対して保持できないために肩甲骨のウイングを引き起こす。  また、肩甲骨の回旋障害により、腕を水平より上に外転させる力が弱くなる。

 

the serratus anterior muscle due to long thoracic nerve injury.