平成元年夏、パニック発作後の無理やりの帰郷、パニック発作中の胃カメラなどにより、

消耗しきった私は、母が勤める病院に入院した。

 

 食欲が全くないことから胃カメラになったわけだが、検査の結果胃には問題が無かった。

入院してしばらくすると、内科部長の総回診があった。(白い巨塔のような)

病名がついていない私の入院に、内科部長から主治医(胃カメラの医師)に質問が飛んだ。

「彼は何処が悪いのかね?」

主治医は答えられない。で、入院までの成り行きだけを説明した。

 

私が若かったので、内科部長は

「社会に出て適応できずにこのような症状になる子が最近増えているんだ。今年社会に出たのかね?」

「社会人になって3年目です。」

「うーん、それはおかしいなあ・・・・食べれない以外に症状はないかね?」

「下痢が続いています。」

内科部長は主治医に指示をした。

「腹部CTと大腸ファイバー検査をしなさい。」

主治医は「はい」としか言わなかった。言えなかったのだろう。

かくして、私の検査日程が決まった。

 

腹部CTの日がやってきた。

なんだかソワソワする。ドキドキする。なんか嫌だ。

CTの機械の中に入った。

えらく緊張した。早く終わってくれ。

終わったときには汗がびっしょり出ていた。

なんか変だな。

以前にもCT検査は何度かしたことがあるが、こんな気持ちになったのは初めてだった。

当然ながら、検査の結果は異常がない。

 

その時はなぜこんなに緊張するのか、まだわからなかった。

 

大腸ファイバー検査の日が近づいてきた。

CT検査以上になんか自分が変だ。

嫌で嫌でたまらない。また体の中に管を入れるのか。(胃カメラのように)

でも、入院しているからには決められた検査をしないと母に迷惑がかかる。

ここは母が勤めている病院だ。わがままは言えない。

私は毎日葛藤していた。

 

日に日に不安は高まるばかり。

でも、ここで検査が嫌だと言えば、

検査から逃げ出したと言われかねない。

前回ブログ出の婦長さんにも何を言われるか・・・・・

 

葛藤は頂点を突き抜けた。

ついに、もう限界、何を思われようが無理。

「とにかく退院させてほしい。もう無理」と訴えた。

そして、無理やり退院した。

 

ホッとした。そして罪悪感と敗北感が残った。

 

ずっと後になってから、パニック発作中の胃カメラが原因で、

検査に対してトラウマになっていたことに気付いた。