昭和40年5月日比谷芸術座、東宝現代劇名作公演「終着駅」菊田一夫作、演出。白鴎(市川染五郎)那智わたる。志村喬。中村米吉。劇団•東宝現代劇。

 デ•シーカ監督のイタリア映画の名作「終着駅」の舞台化は群衆劇の傑作だった。主役以外は細かい役が沢山あって短い出番で、その短い出番をみんな工夫を凝らして演じていた。

 群衆劇なので右から出て左に入り左から、真ん中に入ると通行、通行のお芝居で、全員大活躍だった。

 
 左から三毛 明宏さんと荷物を抱える私とご主人様役の美波里ちゃん
 私と前田美波里ちゃんはその中の構内レストランで、上手に白鴎さんと那智わたるさんの恋人達。下手には前田美波里ちゃんの奥様グラマーと間抜けなコミカルなお供
のやり取り、勿論笑いは来る。工夫を凝らしてイタリア語で演ずる。

 前田美波里ちゃんは東宝のミス•ノーストリングスになっての初舞台だった。

 兎に角感心したのは毎日毎日、演ずる前に、稽古を付けて下さいと来て、毎日出番の前に稽古をした。この熱意、真面目さには、本当に感心した。

 それを真似する他の出演者もいるくらいだった。 

 沢山の細かい賞ををプロデューサーから出るというので、沢山の出演者も張り切って演じる。活気のある芝居だった。

 前田美波里ちゃんもその賞をとる。

 抜群のスタイルで資生堂のコマーシャルで活躍する。前向きで真面目な姿勢は好感が持てた。