十朱幸代さんとは芸術座、御園座、新歌舞伎座、博多座他、26作品御一緒させて頂いた。
特に山本周五郎原作、脚本•演出小幡欣治、十朱幸代主演が多かった。「おせん」「おしの」「おたふく物語」「むかしも今も」「滝沢家の女たち」杉本苑子原作「一葉の恋」田辺聖子原作「伽羅の香」宮尾登美子原作「雪国」川端康成原作。菊田一夫脚本。深町幸男演出「櫂 かい」宮尾登美子原作。平岩弓枝脚本、演出他と多かった。
浜木綿子さん山本陽子さん主演のお芝居もかなり多さでご一緒させて頂いた。
それもかなりの美味しい役どころで、活躍させて頂いた。確かに舞台俳優としては恵まれていた。
さてこのテレビにおける十朱幸代ショーは2時間盛り沢山だった。
森 寿男とブルーコーツと東京放送管弦楽団の演奏が入り、音楽 宮川 秦とさすがNHKかねかけているなと思った。
会場はNHKホール、もう既に満員で有る。
第一部は十朱幸代さんの歌とダンスで、川崎麻世さん太川陽介さん藤村俊二さんと会話、ダンス、歌ありのダンサーをまぢえての明るいショー。
米倉 斎加年さんとのドラマ「バス通り裏」の話。そうして岩谷時子作詞、森田公一作曲の「私も酔うわ」を十朱幸代さんが歌う。続けて「ラストダンスはわたしに」とか「踊り明かそう」をダンスをしながら歌う十朱さん。
その後島田正吾さんが登場。十朱幸代さん初主演の舞台の成り立ちのくだりを語る。その山本周五郎原作、脚本、演出 小幡欣治脚本•演出。柳橋物語「おせん」十朱幸代。甲にしき(現在宝塚劇場支配人)寺尾聰。石田太郎。乙羽信子。島田正吾。出演。日比谷芸術座(現、クリエ)
この「おせん」の1場面、浅草寺•奥山の場がNHKホールで上演される。
この場面は新聞の演劇評でも1番光る場面と劇評された。
十朱幸代さん演ずるおせんが自分の子供を捨てるところから、そこを通りかかった子供のいない中年夫婦演ずる小林誠。おせんと中年の男との子供の取り合いとなり、揉みくちゃになり挙げ句の果てには渋々ながら中年の男は赤ちゃんをおせんに返す、そんな場面、その1場面が何故かお客さんに印象に残ったらしい。
舞台の1場面を舞台で演じたのを緊張もせず楽しく出来たのを思い出す。