これは私の他社出演の一つです。東宝芸能と言うのは、昔東宝は第一演劇部と第二演劇部があって、第一演劇部は商業演劇で菊田一夫先生がひきいていて、第二演劇部はショー関係が多く、以前私は、比叡山ホテルの東宝バラエティーショーの総合司会など、やった事も有ります。花登筺先生が筆頭にたってました。

 今は、東宝芸能と云えば映画、テレビのスター達が沢山います。

 「淑女失格」は佐藤愛子が日経新聞に連載した「私の履歴書」を田口之子が脚本を書き、演出は井上思でした。

 中野駅近くの大きなマンションで稽古が続きました。和気あいあいと思い出に残る稽古でした。稽古場に行くのが楽しみでした。

 平成3年6月6日初日でそれから約1ヶ月三越劇場の公演でした。

 新珠三千代。沢本忠雄。生田智子。鷲尾真知子。平松慎吾。三上春樹。片山せつこ。秋沢秀介出演でした。

 実に洒落た芝居でした。私の役は、経理部長の武藤正夫でお客さんに笑いをお届けする役でした。

 三越劇場も連日入りが良く、品のいい芝居を格式のある劇場で演ずる気持ち良さ、俳優の喜びです。

 役を作り上げる苦しさは、何処かに飛んでしまいます。良き時の良き共演者と芝居を作り上げる、これは贅沢です。

 今は、亡き新珠三千代さんは素晴らしい女優さんでした。他の舞台も合わせて10作くらい共演させて頂きました。いい思い出しか残ってません。