こんにちは。先日、一時帰国して1日後の6月22日(土)にHSK5級を、23日(日)に中検3級をそれぞれ受けてきました。結論から述べると、今日HSK5級の合格基準を越えていることが確認できました。加えて、まだ正式には結果が発表されていない中検3級についても自己採点の結果客観式問題での得点のみで合格基準を越えている状況です(個人的には、中検3級のほうがHSK5級よりもずっと簡単に感じました)。

 

今回、中国語学習を開始してから、どのような道筋で学習を進めるとこれくらいの結果に至るのかということを示す一つのサンプルとして少しは役に立つかもしれないと考え、筆を取るに至りました (といっても既に世の中には1年未満ででHSK6級に合格したといった報告やかなり詳細な学習計画を記したブログがかなり存在するので、あくまでもサンプル数を増やすことにだけ貢献することになりそうではあります)。今日はHSK5級について書きます。

 

なお、前回、中国語学習開始から半年が経ってタイミングで書いたブログ記事があります。こちらです。色々と良くも悪くも当時書いた内容や予想が当たったり当たっていなかったりして面白いです。

 

 

今から見返すと色々と面白いですね。なんかかなり中国語能力を過大評価した記述をしていてたった半年前ですが微笑ましいまでです。「発音の精度が向上した」とありますがそれは元があまりに低かったのでギリギリ通じるレベルになったという程度の話で、やはり今思えば全く胸を張って発音に改善が見られたとはいえないようにも思います。

 

では、一瞬懐古に浸りましたが本編に進みましょう。

 

概況

HSK5級にについては正直、合格するとは思っていませんでした。北京大学で受けていた中国語の授業は週に合計4回で、それぞれビジネス中国語(実質的にHSK4級から5級入門相当だと担当の先生が言っていました)の授業とHSK3級対策の授業です。どちらの授業でも先生や他の学生が話している内容を追いきれないことが多かったり、筆者の中国語能力についてもほかの受講者と比べて明らかに発言内容や表現精度がよくなかったりという状況で、毎回の授業は戦場に行くくらいの覚悟で臨んでいました (とても楽しい授業だったことは間違いないのですが、本当に毎回かなり心身ぼろぼろになりました。表現収集のためにiPadのノートアプリにメモをとっていたのですが1回の授業で20ページくらいは使ったと思います)。

筆記試験だけは日本語のアドバンテージもありある程度こなせてしまうため、口頭試験が課されない学期末試験では最終的にそれなりの得点を取れてはいました。ですが、HSK5級に特化した対策は全く行えず、せっかく買ったHSK5級対策用の公式参考書上下巻セットも使わずに北京の自室に置いてあります。HSK5級受験までの中国語学習期間は2023年5月から2024年6月までの1年1ヶ月でした (ただし、北京での中国語の授業は2024年5月に学期末試験を受けており6月には中国語の勉強らしい勉強はできていませんでした)。

 

レベル感

合格してみて感じたレベル感としてはHSK5級合格(7割の得点)と言えども、中国語運用能力は穴だらけだという印象です。ひととおりの文法や重要表現は分かっており、日常会話程度であればそれなりに問題なくこなせますが、それでも全然自信を持って難しいことまで中国語でこなせるような状況ではないです。語彙水準としても公式ウェブサイトによれば、HSK5級に合格した人は2,500語程度の中国語語彙を有していることになっていますが、そのようなことはないように思います(HSK5級を満点で合格したとかであればもしかするとそれくらいの語彙力はあるかもしれないです)。実際、A Real Meというウェブサイトで中国語の受動語彙数を計測してみましたが1,700語程度だと診断されました。それもそのはずで、阅读では中国語語彙2,500語が試験範囲ですが、听力では恐らく試験範囲がそれよりも狭く、実際にはHSK4級と同じくらいの広さだと思われます (これは公式見解ではなく、かつ、同じことを言っている記事も見つけることができませんでしたが、個人的には正しいと思います)。そのため、日本語の知識のおかげで実質2,500語と同じくらいの中国語語彙があるような状況ではあるので、HSK5級の阅读は多少中国語の学習が行き届いていなくとも問題なく対処でき、かつ、听力についてもHSK4級の試験範囲と同じくらいの中国語語彙量(=1,200語)があれば概ね問題はないことから、日本人(日本語が第一言語の人)にとってはHSK5級合格のために要する努力量が比較的少なくて済むように思います。

 

HSK各級の一覧表 (出典: 公式ウェブサイト)

 

インターネット上で見られるHSK関連の記事のうちのほとんど全てが指摘しているように、HSK5級をとったからと言って「中国語の新聞・雑誌を読んだり、中国語のテレビや映画を鑑賞することができ〜」といった状況にはなりにくいように思います。少なくとも、筆者の現在の中国語運用能力はそのようなレベルからはかけ離れています。

 

受験理由と結果

HSK初受験にもかかわらず、あえてHSK5級を受けた理由としては、①最後にはどのみちHSK5級を受けることになるだろうと思っていたので早めに受験しておきたかった点、②HSK3級であれば授業での特訓のおかげもあり確実に満点近い得点が取れる手応えがあった点、③HSK5級に申し込んだ時点ではまだ試験まで2ヶ月時間があったので多少は勉強時間が取れるのではないかと思った点の3点によります。この理由によるのであれば、HSK4級の受験でもよかったように聞こえるとは思いますが、やはり①の理由がかなり強く心にあり、かつ、HSK4級についても合格基準である6割の得点であればなんだかんだ取れそうな気がしたので、今回はあえて5級の受験を目指しました。今回のHSK5級の最終的な得点詳細は以下のとおりでした。

 

HSK5級受験結果 (出典: HSKウェブ試験結果発表画面)

 

分析と反省

予想どおり、日本語の漢字の知識を活かしやすい阅读のパートで得点を稼ぐ結果となりました。まさかここまで正答しているとは思っていませんでしたが素直に嬉しかったです (とはいえ、日本語の知識に頼らずとも中国語の知識のみで読解を素早く正確にできるように練習する必要があるのは間違いないです)。听力については個人的に一番課題を感じているパートでした。本番も自信のない設問がかなりたくさんあり、体感的には4割くらいしか正答できていないと思っていました。多少運良く正答になっている部分もあると思います。聞き取りの力は、会話をする上でも間違いなく必要になるため(というよりももう既に、まさに今現在、聞き取りができなすぎて毎日北京で困っています)、変わらず最優先課題として実力をつける必要があると感じています。幸いなこととしては、北京にいたおかげでHSK5級のリスンング問題が話す速度はかなりゆっくりに思えました (そのため試験中は、早くてついていけないというよりも使われている語彙や表現が分からず内容が理解できなかったことが圧倒的に多かったです)。HSK5級の語彙対策は、Dadadadaというアプリを使って行いましたが、聞き取れるレベルまで定着させられなかったように思います。

最後に、写作についてです。こちらは採点基準も分からないためかなり手探りでした。試験一週間前くらいにHSK5級の模擬問題として公式ウェブサイトに掲載されているものに取り組み、その答案を中国人の友人に頼んで一度だけ見てもらいました。その時に紹介してもらった表現や助言をもとに本番ではなんとか書きました。実は本番に書いた作文を一言一句違わず全てメモに記録してあるのでせっかくなのでこのブログに公開します。もし改善案があれば教えていただけたら泣いて喜びます。なお、お目汚ししてしまうとよくないので、口直しのために生成AIに添削してもらった答案も一緒に載せておきます。

 

A. 「曾经,寂寞,娱乐,联系,聚会」を使って80語前後の作文

【実際書いた答案】

其实,我和我的老师曾经参加过好玩的活动很多次。例如,在娱乐的方面,我们俩参加羽毛球比赛,跟其他参加者尽力斗争。大概五年之后,我们更忙,有时候联系,所以我们感觉寂寞。明年我们打算举聚会再次见面。

【GPTの添削後】

其实,我和我的老师曾经参加过很多好玩的活动。例如,在娱乐方面,我们俩参加羽毛球比赛,尽力与其他参加者斗争。然而,五年之后,我们变得更加忙碌,很少联系,彼此都感到有些寂寞。为了重温过去的快乐时光,我们打算明年举行一次聚会,再次见面。

 

B. スーツケースの横で抱き合っている女性2人の写真について80語前後の作文

【実際書いた答案】

在这张图中,两个成年女生正在站在行李箱旁抱一起。现在的状况也许是她们之一需要永远离开国家的。她们可能是青梅竹马的关系,因为左边的女生穿粉色的正装,恐怕从公司到机场急忙来了。

【GPT添削後】

在这张照片中,两个成年女性在行李箱旁紧紧拥抱。她们的表情看起来充满了离别的痛苦和不舍。可能其中一人即将离开,或是前往远方工作或学习。她们看起来关系非常亲密,可能是多年的好朋友或亲人。左边的女性穿着粉色正装,似乎刚从公司赶来机场。这个场景充满了情感,展现了友谊或亲情的深厚。

 

このほかにも並べ替え作文があるのでこれらの自由作文だけから得点を予想するのは難しいところもあります。ですが、並べ替え作文のほうは恐らく8割くらいできていたと思われることを考えると、やはり自由作文のほうの得点は少し伸び悩んだかなと思います。とはいえ、当初の計画どおり6割は取れたのでそのことについては嬉しかったです。

 

まとめ

語学留学ではないため中国語の学習時間を毎日たくさん取ることはできない状況でした。ですが、中国語学習初心者がなんとか毎日頑張って北京での生活に食らいついていけばHSK5級に1年間の学習で合格が可能であることを示すことができたのではないかと思います。もちろん、日本語のアドバンテージに支えられたために実際の中国語運用能力に比して得点が随分と取れてしまっており、かつ、当日運よく正解できてしまった設問も多くあったとは思います。ですが、一つのサンプルとして、諦めずに学習を続けることで比較的短い期間で合格を目指すことも不可能ではないことを伝えられればと思います。一時帰国する前に、HSK3級の授業を持っていた中国語の先生から「HSK3級頑張ってね!受かったら教えてね!」と励ましていただいて送り出していただきましたが、結果的にまさかHSK3級どころかHSK5級の合格点を越えることができたのはとても嬉しい驚きでした。

日々、中国語力のなさを実感する日々ですが、コツコツと学習を継続したいと考えています。少し欲が出てしまったので、もうこの際、日本語のアドバンテージを最大限活かし切ってHSK6級にも挑戦してみようかなと思っています。受験するとすれば最短で8月18日ですね。その後の場合には北京で受験することになるので、可能であれば日本にいるうちに受験したいですが、ちょっと流石に急すぎる気がしてならないです。

来年2025年7月に北京大学を卒業して留学生活が終わる予定です。それまでにHSK6級で7割取れる実力をまずは付けたいと目論んでいます(実際、それがどれくらいのことなのかはあまりピンときていませんが、恐らくかなり難しいのではないかと思います)。加えて、中検についても留学を終えらた2級と準1級を受けてみたいです。その辺りを目標にして、まずは積読状態のHSK5級の公式テキストをしっかりと活用して学習に励みたいと思います。