予備校講師であると同時にタレントでもある
林先生のお話です。
林先生と言えば現代文の予備校講師ですが,
最初のころは数学を教えていたのだそうです。
そして普段であれば当然
授業前に予習をするのですが,
たまたま予習を忘れていたことがあって,
ぶっつけ本番で授業に臨んだことがあったのだそうです。
その授業は東京大学の過去問の解説授業で,
さすがの林先生も苦戦しましたが,
あーでもない,こーでもないと試行錯誤を続けて,
なんとか授業を乗り切りました。
自分では最悪の授業をやってしまったと思ったのですが,
なぜか生徒の評判は上々で,
「ああいう授業がわかりやすかった」
とまで言われたのだそうです。
一般的に数学の解説授業は,
模範解答・解説に載っているような
「きれいな解説」をされる先生が
多いのではないでしょうか。
ところが生徒からすれば,
そんなきれいな解き方が
最初から頭に浮かんでくるわけがありません。
つまりそんな「きれいな解説」はあまり意味がないのです。
それだったらむしろ,林先生が普段どんな風に考え,
どんな手順で問題を解いているのかが
リアルに分かるその授業のほうが,
生徒の心に刺さったということでしょう。
ただ,私から言わせると,
「林先生,だいぶ盛ったな!」
と思わないこともありません。
林先生ともあろう人が,
その程度のことを理解していないはずがないからです。
それに近い出来事はあったのかもしれません。
ただ,「生徒の評判が良かった」
という部分を少し大げさにしたりといった
創作も含まれているのは間違いないと思います。