2022年末までに
原子力発電を全廃すると
決めていたドイツが、
一部方針を変えたという記事です。
原発停止時期を遅らせ、
原子力発電2基を
2023年の4月半ばまで
稼働可能な状態に保つとのことです。
ドイツは、
「脱原発」と「脱石炭火力発電」
という方針を掲げていました。
国内に褐炭(質の低い石炭)が
豊富にあるのにそれを使わず、
再生可能エネルギーと、
天然ガス発電にシフトしたわけです。
その方針には当初から
否定的な意見がありました。
ご存じのように再生可能エネルギーは
非常に不安定なエネルギー源ですし、
ドイツは天然ガスの4割を
実質的な「敵国」である
ロシアに頼っています。
そもそもドイツは
石炭から天然ガスにシフトするよう
他国にも働きかけていましたが、
そんなことをしたら天然ガスが
不足するに決まっているわけです。
方針はともかく、
それを急激に進めようとするのは、
明らかに無理がありました。
この報道を受けてネット上では、
「ほら見たことか!」
という意見が挙がっています。
ドイツは日本など他の国にも
「脱石炭火力発電」を迫っていました。
ところがエネルギー危機を受け、
今では二酸化炭素排出量が多い
褐炭を使った火力発電を
フル稼働させています。
それに加えて今度は
原発廃止期限を延長したわけです。
ドイツのエネルギー政策は
完全に破綻したと言って良いでしょう。
ただ、私はドイツの方針転換に
むしろ感心しました。
日本だったらこんな風に急に方針を
変えられなかったと
思うからです。
例えばロシアのウクライナ侵攻の後、
ドイツはすぐに防衛費の増額を決めました。
それに対して日本は、
すぐには何も決められなかったのです。
その後、他国からの圧力もあって
日本も同じような方針を掲げましたが、
反対意見もあり、
未だにもたついています。
ドイツにくらべると、
日本は明らかに
「決められない国」なのです。
他国にも「脱石炭火力発電」を
迫っておきながら、
いけしゃあしゃあと
褐炭による石炭火力発電を
再稼働させるドイツを、
批判したい気持ちも
ないわけではありません。
ただ、欧米諸国は良い意味でも悪い意味でも、
「恥知らず」な面があります。
欧米諸国は有色人種を差別し続けた過去があり、
未だに「差別」が根強く残っています。
ところが今では「反差別」の先頭に立って、
世界を引っ張っているかのような
顔をしています。
これなどがまさにその一例でしょう。
「差別」の中心地だった国が、
今は他国の「差別」を批判しているわけです。
日本人的感覚では、
「なんとまあ恥知らずな……」
ということに
なるのではないでしょうか。
ただ、差別してきた歴史があり、
今でもその差別が残っているからこそ
「反差別」を声高に叫んでいるのだ、
という見方もできます。
「恥知らず」であったとしても、
誤りを素直に認め、
方針転換するのは
悪いことではないと思います。