少し前に、とある塾長先生から、
「どうやったら塾をうまくやっていけるんでしょうかね?
なんか、コツみたいなものはあるんでしょうか?」
という質問をいただいたことがあります。
うちの塾は校舎も1つしかない小規模塾ですし、
人様にアドバイスできるような立場ではありません。
ただ、そういう質問をいただいたので、
自分なりに考えてみたのですが、
無理を承知であえて一つだけ挙げるとしたら、
「良いと思ったことは、採算を考えずにやること」
ではないかと思います。
当塾は開校当初はいまよりも駅に近い場所にありましたが、
十数年前に今の場所に移転しました。
当時は教室の広さが三十数坪しかなくて、
手狭になっていたことも移転理由の一つですが、
もう一つの理由は、「自習室を作りたかったから」です。
当時、塾生が自習をしに来たときは、
空いている個別指導のブースで自習をしていました。
そして個別のブースが空いていないときは、
事務室の机や
カウンターで勉強していたのです。
それではお世辞にも良い環境とは言えません。
おまけに教室を少しずつ広げていった関係で、
一部の教室が離れ状態になっていて、
使い勝手も悪かったのです。
それに比べて今の場所は広さが1.5倍ぐらいありますし、
新築で間取りも自由に決められたので、
自習室を作るには絶好の物件でした。
それで移転を決めたのです。
ただ、当然ながら移転にはお金がかかります。
敷金や改装費、新しく購入する事務用品費などを入れると、
8桁近いお金が必要だったのですが、
開業してまだ日が浅い当塾には
そんなお金はありませんでした。
ですから、あえて無理をする必要はない、
ということで移転しない選択肢もありました。
ただ、あのとき移転していなかったら、
今の当塾はなかったと思います。
というよりも、私があのときに
移転を選ばないような思考の持ち主だったら、
当塾はどんどん縮小していたのではないかと思います。
質問の答えになっているかどうかわかりませんが……。