当塾で人気がある高校の1つに
多賀城高校があります。
周辺地域の標準レベルの学力の子だと、
利府、塩釜、泉松陵高校あたりになるのですが、
多賀城高校の基準偏差値はそれらの高校よりも
10近く高くなっています。
国公立大学等の合格実績もまずまずですので、
周辺地域の「中の上」ぐらいの学力の子が
一番行きたがる高校になっています。
多賀城高校には普通科以外に、
「災害科学科」があります。
正直なところ定員割れすることも多く、
普通科よりもだいぶ入りやすいので、
ある意味ねらい目の学科になっています。
ところが、みやぎ模試の難易度表によると、
普通科の51に対して災害科学科は50と、
難易度の差がほとんどありません。
それはなぜなのかというご質問をいただきましたので、
その点について書いてみたいと思います。
結論から言うと、次の3点が
大きな理由なのではないかと思います。
①データが少なくて、はっきりとした合格最低ラインがわからないから。
②今後も定員割れが続くとは限らないから。
③普通科とのバランスをとるため
まず①ですが、昨年度は後期での合格者が8名しかおらず、
みやぎ模試でつかんでいる合格者の数も1名しかいません。
昨年度は倍率が1倍を大きく下回りましたので、
合格最低ラインはかなり低かったと推測されるのですが、
データがほとんどないため、断言できなかったのです。
また②については、
昨年度は定員割れだったものの、
今年は2回目の予備調査段階で1.18倍と、
定員割れしていません。
また定員が少ないがゆえに、年によって
倍率が大きく跳ね上がる可能性もありますので、
あまり低い基準偏差値にはしにくいのでしょう。
③については、少し説明が必要かもしれません。
各高校、学科の基準偏差値については、
合格最低ラインから機械的に決めているわけではありません。
最終的には様々な要素を勘案した上で
人間が決めています(おそらく)。
ですから、どうしても「バランス」が
重要視される傾向があるのです。
わかりやすい例は仙台二華高校です。
仙台二華高校は一時期、定員割れが続いていました
合格者の得点分布を見ると、
それこそ偏差値50台前半の合格者がたくさんいたのです。
ところが仙台二華高校といえば、
前身が宮城第二女子高校で、
南学区で女子が入れる高校としては最難関でした。
ですから、全体のバランスを考えた場合、
仙台二華の基準偏差値を、
仙台向山や仙台南よりも大幅に下に設定するわけには
いかなかったのです。それで定員割れだった時代も、
仙台二華高校の基準偏差値は、
仙台向山や仙台南とほぼ同じに設定されていました。
多賀城高校の災害科学科もそれと同じです。
バランスを考えて普通科のほんの少し下に設定したのでしょう。
そもそも高校の基準偏差値は、
実際よりも少し高めに設定されることがよくあります。
低めに設定して、「合否判定が良かったのに不合格だった」
ということになると、「あの模試は信用できない」
ということになりかねないからです。
高めに設定しておけば、
「合否判定が悪かったのに合格だった」
ということになっても、
「一生懸命勉強したからだ」ということで、
あまり悪い印象は持たれないのです。
模試の基準偏差値は、全体的には信頼できるものの、
様々な大人の事情で決まっている部分もありますので。