私は一時期、日本や中国の官職に興味があって、

 

様々な書籍を読んでいたことがあります。

 

 

「官職の知識なんかあったって、何の役にも立たない」

 

と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

 

いや、そんなことはありません。

 

官職の知識があると、歴史を学んだり、

 

小説を読んだりするときに、

 

非常に役に立つのです。

 

 

例えば、平安時代に菅原道真という人がいました。

 

遣唐使の停止を建言したということで、

 

中学校の歴史の教科書にも載っています。

 

道真は右大臣まで昇りつめたものの、

 

破格の出世を妬まれ、大宰員外帥に左遷されます。

 

 

この、右大臣→大宰員外帥

 

という官職の変化ですが、官職のことがわかると、

 

道真の切なさが伝わってくるようになります。

 

 

まず右大臣ですが、序列から言うと

 

太政大臣-左大臣-右大臣なので、

 

三番目に偉い官職になります。

 

※ちなみに摂政・関白は正式な官職ではありません。

 

ただ、太政大臣は適任者がいなければ置かれない官職で、

 

当時は太政大臣がいなかったので、

 

天皇を除けば朝廷内ナンバーツーということになります。

 

会社でいえば副社長のようなものです。

 

 

それに対して大宰府は

 

今の福岡県に置かれた地方行政組織で、

 

トップは大宰帥になります。

 

ただし大宰帥は皇族が任じられる名誉職で、

 

実質的なトップは大宰権帥です。

 

 

そして大宰員外帥は権威だけはそれなりですが、

 

失脚した大臣の左遷ポストで、

 

実質的な権限はありません。

 

いわば地方支店の相談役みたいなもので、

 

典型的な窓際ポストなのです。

 

副社長から地方支店の相談役に

 

左遷させられたわけですから、

 

道真もさぞかし無念だったろうと思います。

 

 

右大臣という官職の重さ、

 

そして大宰員外帥という官職の持つ悲哀さ、

 

それが分からないと、この事件の

 

本質を理解したことにはなりません。

 

 

官職について学ぶのも無駄ではないのです。

 

これは別に官職に限った話ではありません。

 

数学でも英語でも社会でも、

 

本当の意味で無駄な知識などないのです。

 

 

もちろん学校で勉強したことが

 

結果的に役に立たなかったように思えることもあります。

 

でも、本当にそうでしょうか?

 

役に立たないように見えても、

 

実は間接的に役に立っていることもありますから。

 

 

仮に全く役に立たなかったとしても、

 

それはその人がたまたまそうであっただけです。

 

「役に立たなかったから必要ない」というのは

 

結果論に過ぎないと思います。

 

 

 

次回に続く