師匠の受け売りで恐縮ですが... 脳のはたらきには、2つの思考モードがあります。虐待サバイバーの方には、これをちょっと意識することをオススメします。
数年前にベストセラーで「システム1とシステム2」と紹介されて有名になりましたが、心理学では違う呼び方で以前から常識だったそうです。
ざっくりと違いを整理しますと、
① 自動的、直感的、感覚的、経験的、早い、脳の負担が少ない
② 制御的、分析的、論理的、知識的、遅い、脳の負担が大きい
こんな違いがあります。なんとなく実感できますよね。
頭の中で2つの思考モードが並行して働いていると意識してください。
過去のトラウマに反応して気分が悪くなったり、体調を崩したりするのは「システム1」のはたらきです。過去の体験に近いエピソードを聞いたりすると、脳が無意識に反応して、直感的に危険を感じてしまいます。そんな時に、意識して「この話は私とは全く関係ない、影響もない」と自分に言い聞かせることで冷静さを取り戻すのは「システム2」のはたらきです。
一般的なビジネスでは「システム2」を使って冷静に考えることが求められますが、逆にセールスなどの仕事では、相手にものを買わせるために「システム1」に働きかけるテクニックが巧みに使われています...
多くの人は「これが欲しい」と衝動買いしたくなっても、冷静に検討して、それから最終的な決断をしますよね。この、システム1とシステム2の使い分けが苦手だと、生きづらさの原因になると思います。
ネットワークビジネスや新興宗教の勧誘では、相手に何か行動(入会)させたり、購入や寄付をさせるために、感情に訴えるノウハウが使われます... 様々な悩みや不安、コンプレックスを抱えている人は、脳が無意識に反応してしまうので、後から「どうしてやってしまったのだろう?」と後悔するような判断のエラーが多くなります。これを逆手に取れば、弱みにつけ込んで判断のエラーを起こさせることもできるのです...
虐待サバイバーやアダルトチルドレンなど、コンプレックスを抱えて葛藤と共に生きてきた人にとっては、「システム1」の怒りや悲しみを自分の心そのものに感じているはずです。
それに対して「システム2」には冷たくて共感してもらえないので一緒にいて居心地がよくありません。それでも、長い目で見て本当のあなたの味方になってくれるのは「システム2」の思考モードです。
回復に必要な心の癒しには「システム1」が直感的に反応します。それと並行して、発言や行動の前に立ち止まって「システム2」の思考を意識すれば、感情に振り回されない冷静な判断ができるようになります。後から振り返って後悔することが少なくなれば、自己嫌悪に陥ることも減らせるので、自分の心を守ることにつながります...
私の場合、それとは逆でした... 分析的な「システム2」を働かせて、学生としても社会人としてもうまくやっていたつもりでしたが、心が追い詰められました。私に必要だったのは「システム1」の解放でした。意識的に「システム2」をお休みさせる練習をして、心身のバランスを取り戻しました。システム1とシステム2のどちらが優れているか、どちらが正しいかではなく、どちらも必要でバランスが大切なのだと思います。
閲覧注意 九州在住で、親から虐待された自覚のある方へ #防止策イベント2021
「怖い」という感情を論理的に説明したところで、「怖い」という感情を分かち合えるか?
— 今一生@新刊『子ども虐待は、なくせる』 (@conisshow) December 23, 2021
おそらく、納得はできても、共感は難しいだろう
こども庁に「家庭」を足そうとする人たちは、「家が怖い」という人たちを論理で踏みつぶそうとする
彼らは、虐待親と変わらない恐怖のセカンドレイパーだ
議論の場所が、感情抜きの論理だけで成立するかのような勘違いをしてる人は多い
— 今一生@新刊『子ども虐待は、なくせる』 (@conisshow) December 24, 2021
論理のうしろには、その理屈を建てたい感情があるし、感情自体も理屈の壁に押し込められたゆえに噴出するものがある
論理と感情がそれぞれ独立して存在しているなら、それは既に人間の仕事じゃないだろう