ちょっと間が空いてしまいましたが、まだ続きがあるので書かせてください。

 

何人かの家族、親友、近所の人などのコメントを聞いた後

 

みんなでキャンドルを灯して、そばにある沼で彼の持ち物を燃やすと言う次の作業がありました。

 

部屋の両脇に並べられた彼の遺品から、欲しいものがあったらそれを取り除き

 

残ったもので燃やせるものは燃やしてしまう、と言っていました。

 

小さい頃の思い出の服やおもちゃから

 

最近まで身につけていたであろうジャケットやジーンズやブーツ

 

目覚まし時計とか工具とか

 

既に欲しい人の名前がポストイットで貼り付けてありました。

 

集まっていた建物から出て、キャンドルを灯して

 

真っ暗な闇の中を

 

キャンドルの火だけを頼りに

 

牧場の庭から、ところどころ水たまりのあるデコボコした草地を

 

何十人もの人間が

 

そばにある沼まで歩きました。

 

ビルや家が隣同士の隙間も無く立ち並ぶサンフランシスコから

 

北に100キロほど行ったその場所は

 

空に満天の星を浮かべている様な

 

真っ暗な場所でした。

 

ハリがここに遊びに来ていた頃

 

子供達はこの道を歩いて沼まで行き

 

そこでカヤックに乗ったり泳いだりした思い出があります。

 

真っ暗でどんな道をどう歩いているのかも良く分からない状態でその沼まで行くと

 

そこには水に浮かべる様に木の枠が組まれており

 

その上で物を燃やせる様になっていて

 

彼の所持品や集まったみんなが作った【布にハーブを巻いた物】が投げ込まれ

 

点火がされました。

 

彼が子供の頃に大事にしていたぬいぐるみもここで燃やしました。

 

岸にあったその浮島は、それにつなげてあったカヌーで誰かの手によって沼の深い方に引っ張られ

 

みんなはその火を見ながら歌を歌いました。

 

なんの歌だか私は知らない歌ばかりでしたが

 

なぜかみんな知っていたので

 

宗教的な歌とかで良く歌われる物なのかなと思いました。

 

この歌はなんて曲なんだろう?

 

どうやって探せるのかな?

 

でもきっと録音された歌よりも、ここでみんなが一緒に歌っている歌声が一番心に響くのだろうなと

 

ぼうっと考えていました。

 

このお別れ会が、アメリカの中でどれだけ一般的なのか

 

あるいは特殊なのか

 

お葬式に出た事があまり無い私には分かりませんが

 

最初に出た義母のお葬式も

 

2度目に出た仕事場の同僚だった女性のお葬式も

 

全然様子が違いました。

 

彼の遺品の山で出来た火を見つめながら

 

寒空の下でみんなで合唱し

 

ある程度の火が落ち着いた頃

 

元の場所まで歩いて戻りました。

 

帰りの時はみんなバラバラに戻り始めたので

 

私はハリと二人で携帯のフラッシュライトを点けて下を見ながら戻りました。

 

歩いている途中で茂みから何かの動物が出てきてもおかしく無い様な場所でした。

 

戻ったら建物の一階で食事の用意があり

 

みんなが持ち寄ったサラダやチップスなどと一緒に

 

アッツアツのスープと炊きたてのブラウンライスが振る舞われました。

 

ビールなども置いてあったのですが

 

ハリが運転できないと言うので、私は飲みませんでした。

 

真っ暗な山道を運転する自信が無いと言うハリも分かりますが

 

山道は自分で運転しないと酔ってしまうので、私は自分で運転するつもりだったので

 

最初からお酒を飲むつもりはありませんでした。

 

そこに設えられた簡易的なテーブルとベンチに座り

 

ハリとご飯を食べていたら

 

亡くなった男の子の母親と30年来の親友だと言う人と知り合い

 

食事中に話す機会がありました。

 

彼女とは正反対の自分なの・・・と言っていましたが

 

20代の頃から知っている友達なので

 

私たちとはまた違った気持ちでここに参加しているのだろうなあと思いながら話をしました。

 

ハリが悩んでいた事があったと言う話も私が普通に話していたので

 

『初めて会ったばかりの見も知らぬ私にプライベートな事を正直に話してくれてありがとう。』と

 

言われました。

 

私は息子が自殺したいと思うと言ったりする事を秘密にしておく・・・

 

と言う気持ちが無くて

 

ペロッと話してしまうんです。

 

話したら、同じ立場にいる人が案外身近にいるかも?なんて思いもあるし

 

秘密にして一人でもやもやと考えている事が出来ないからです。

 

今回のこの集まりは

 

最初は行くことにためらいがありましたが

 

思い切って参加して良かったと思いました。

 

同じ人物を大切に思う人たちの集まりの中で

 

一緒に故人を偲ぶと言う作業は

 

残された人にとって大切なステップなのかもなと思ったのです。

 

この日の知らせが来た時から

 

ずっと涙ぐんだり、考えたり

 

落ち込んだ様な気になったりしていて

 

クリスマスもお祝いする気持ちにもなれないし

 

このお別れ会に参加した後も

 

気持ちがどよーーーんとしていたのですが

 

2週間近く過ぎて

 

なんとなく

 

落ち着いてきました。

 

お別れの日の話はこれで終わりです。