うーん、、、、
ジャズギターって何なんだろう、、、
ていうかね、そもそもギターってジャズを演奏するのに
向いてないんじゃないの?
なんて事まで思ったりして、、、
だって、ジャズの花形楽器と言えば、、、
やっぱり、管楽器!
そしてコード楽器は、やはりピアノ!
でしょう。
とはいえ、歴史的に見てもギターでやるジャズというモノを確立してきた
ジャズギタージャイアンツ、が沢山いる訳で、、、
彼らが使ってきたギターはいずれも
「フルアコースティックギター」
通称「フルアコ」というモノでした。
ギターという楽器は、構造や用途、音色によって
ザックリ分けると3種類になります。
まず、「アコースティックギター」
生ギターです。
エレアコ、クラシックギター、エレガットも含みます。
次に、「エレキギター」
ソリッド、セミホロウ含む。
所謂、ロック、ポップスで使うエレキですね。
で、最後に「フルアコ」です。
上記2つのギターは、なんのジャンルでも使えます。
しかし、フルアコは「ほぼジャズでしか使わない」ですね。
フルアコでストロークしながら弾き語りしてる人はいない…でしょうw
出来なくはないけど。
いや、音色とダイナミクス的にイケテないなw
そういう意味で言うと
フルアコ=ジャズギター となる訳ですな。
ジャズギター=フルアコ という図式は
成り立ちません。
もちろん、「じゃなきゃ認めない」っていう人はいるでしょうけど。
個人の嗜好、思想の問題です。
さて、そんな頑固一徹な楽器、、、フルアコですが。
ある有名ジャズサイトでしこたま叩かれてて、個人的には大いに賛同したのですが。
要約すると、こんな感じです。
「フルアコという楽器は、バッキングではピアノの真似をし
ソロになるとサックスやペットのフレーズを真似し
しかも、そのどちらも表現力、音色共に本家の足元にも及ばない」
まさに、その通りだと思います。
「フルアコによるジャズを喜んで聞くのはフルアコ弾きだけ」
という都市伝説も頷けます。
しかし、さっきのサイトは「ジャズギター」を批判している訳ではありません。
こう続きます。
「つまり、フルアコという楽器は、ギターの良さというものを全て捨てた楽器だ。
ギターが活躍するジャンルといえば何だ?
ロック、ポップスではないか。
チョーキング、歪み、エフェクターを使ってこその"エレキギター"ではないのか?」
その後、マイク・スターン、リトナー、カールトンなどの
「エレキでジャズやっちゃうぜ」
な一流プレイヤーの例を挙げて、彼らの素晴らしさを訴えます。
非常に賛同できますね。
最近の例でいうと、上原ひろみさんが面白い事をしてましたね。
彼女のピアノプレイの表現力、テクニック、正確さは書くまでもありません。
そんな彼女のピアノトリオに「プラスワン」
もう一つ楽器を、プレイヤーを入れるとしたら、、、
フルアコ弾き?
プレイ、音色共にピアノ(というか彼女のプレイ)に負けてしまうでしょう。
今現在、彼女のピアノと対等に渡り合える「フルアコジャズの人」を
僕は知りません。
管楽器プレイヤー?
楽器構成は完璧ですが、「ドジャズ色」が強くなるかもしれません。
ありふれたカルテットです。
彼女の幅広い音楽性を表現するにはトラッド過ぎます。
それに管楽器はバッキングが出来ないので、どうしてもフロントマンになりますよね。
そこで、彼女が選択した答えは、、、
エフェクターを駆使する変態エレキギタープレイヤー
でした(変態はイイ意味でねw)。
アコピの後ろで、時に空間を作るシンセ的な音を出し
ソロでは歪んだ音でピアノと対等に渡り合う。
しかもフレットレス、アームも使い
ピアノでは出せないポルタメントトーンを弾く!
まあ、実際、彼女がそういう考えで
デヴィッド・フュージンスキーというギタリストと一緒にやったかは
定かではありませんが、あながち間違いではないと思います。
そのサウンドは唯一無二の「ジャズ」でしたから。
さて、そんなとこまで考えが進んで
じゃあ、フルアコはダメなのか?
というと、、、
そうではない、と個人的には思います。
簡単な話、フルアコを使う場合はピアノレスにしてしまえば良いんです。
フロント楽器のバックでコンピングがぶつかる事もありません。
ギタートリオ、これも歴史的に名盤が数多くありますよね。
でも、それだとギターがソロを弾いてる時に
コードバッキングがないのは寂しい、、、
じゃあ、オルガンとか相性がイイんじゃないですか?
はい、そーいうバンドありますよね。
ピアノとフルアコの相性の悪さというのは
ドラム、ベースが居る編成の場合に顕著になります。
逆にドラム、ベースレスの編成だと
コード楽器同士、仲良く奏で合う事が出来ます。
そういう名盤も多いですよね。
もう、いっその事
3リズム +ギター +ワンホーン とかの編成だと
「ギターはフロント楽器」
くらいの立ち位置でイイんじゃないかと最近は思ってます。
ジョンスコがリッチー・バイラークとやったライブアルバムでは
ピアノソロの時は、ギターはバッキングをしてませんでした。
その瞬間は完全にピアノトリオ。
つまり「エレキギターはフロントマン」という立ち位置です。
(もちろん各々プレイヤーの力量にもよります)
実際、今自分は上のクインテット編成の場合
エフェクティブなソリッドギターでジャズを弾いています。
ただ、そればっかりだと、一般的な素人の目から見た場合
「なんかジャズっぽくないですね」
と言われる場合が多いので、、、
そういう場合はピアノレスにしてフルアコを弾きます。
「ジャズって良いですね~」
と、言われること間違いなしですw
素人の方のイメージで
「ジャズのギター=フルアコ」
という図式が成り立っている方が多いのは間違いないです。
「フルアコ持ってればジャズの人だよね~」
その通りです。
最初に言ったとおりフルアコはジャズしか出来ませんから。
「白い縦長の料理帽かぶってればシェフ」
っていうくらい確実な事です。
以前ツイートした
「フルアコは見た目」
というのは、そういう意味です。
プレイヤーからすれば、フルアコを持とうが
ソリッドを持とうが、ジャズをすることには変わりありません。
表現は変わりますけど。
ただ、やはり冒頭に書いたように
ギターでジャズを演る、という事は
常に、ピアノや管楽器に対して
ルサンチマンを抱えながら、である事は
間違いないです。
例えば、ホテルのピアノ併設のラウンジなんかで
ジャズを演奏する時。
クライアントからすれば、一番安あがり、かつ
パッと聞き分かりやすく、ムーディにジャズを聴かせる方法。
ピアノソロ、です。
ジャズピアノバー、ってよくありますよね。
ジャズギターバー、って聞いた事ありますか?w
+1楽器を入れる場合でも
管楽器(多くはサックス)でしょう。
ジャズヴォーカルを入れる場合もあります。
よく見る光景です。
ここには残念ながら「ジャズギター」は入る余地は、ほぼありません。
まあ、これは単に需要と供給の問題で
ピアノやサックスの方が人気があるから
という事だと思います。
ギターメインで、という事になれば
編成は、ギター+ベースのデュオ、でしょう。
ジャズでソロギターで音楽を成立させる、となれば
これは相当の一流プレイヤーでないと出来ない業です。
しかし、仮にジョー・パスがバー、ラウンジで3時間
ソロギターを弾いたとして、、、
彼の事を何も知らない素人の方は、楽しめるでしょうか?
それよりもジャズピアノ歴10年くらいの
アマチュアジャズピアニストのピアノの方が
「ジャズってお洒落でイイよね」
と、お客さんは感じるのではないでしょうか。
ヴォーカリストがそういう仕事を受けた場合の
歌の伴奏のファーストコールは、やはりピアノでしょう。
なんだか書いてて悲しくなりましたね(笑)。
今、このブログを読んでいる方で
「ジャズ好きだけど、これから楽器始めます!」
って方がもしいれば
間違いなく、ピアノか管楽器をオススメします。
プロであれアマチュアであれ、一生これからジャズに関わって
生きていくのであれば、ギターは選ばない方が良いです。
需要が全然違いますから。
そんな事を突き詰めたあげく
ジャズギタリストの待ってる先には
「ボサノバ」
というジャンルがある訳ですな。
まだ自分はそこには達してませんし、達するかも分かりませんがw
自分の場合は、ロックギターというところからジャズに入り
基本ソリッドでジャズを弾いています。
「ジャズギターをお願いします」
と言われた場合はフルアコでw
いわゆる「コンテンポラリー」というスタイルなのでしょうが
「ジャズじゃないよね~」
と言われても
自分の「ジャズ」を弾き続けます。
エフェクター、アンプ込みで自分の「楽器」なので
そこいらのピアノ、管楽器には負けませんよ~(笑)。
魅せる、聴かせる、という事が出来なければ
何の楽器をやったって同じです。
全国の「ジャズギター弾き」の皆さん
頑張りましょう!(どーいう締めなんだw)
最後に…そーいう意味で総合すると
「セミアコ」ってイイですよね~。
皆が選択する理由が分かります。