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こどもモード

こどもモード by ⌘μ⌘

前回、考察①では、他の楽器と比べて

「ジャズギター」ってどうなの?

っていうのを書いてみました。

コチラ→ http://katsuyayuki.blog.so-net.ne.jp/2013-02-02








今回はちょっと音響的な面からまず入ってみようかなと思います。







ジャズの楽器というのは、言わずもがな、基本

「生楽器」

です。




生音そのまま、もしくはマイクを通して音を出す

アコースティック楽器がメインです。






生音というのは、ピアノ、管楽器、ドラム、いずれにせよ

「豊かな倍音」

というのを多く含んでいます。





なので、これらの楽器のアンサンブルは

「よく混ざる」

そして

「一体感があり、よく響く」

のです。






倍音というのは、簡単に言うと、音の中の

「キラキラした高音の成分」

です。






ウッドベースは、場合によってアンプを使いますが

音楽的な役割上、音色に倍音を含む必要はありません。
(※マイク録りすれば倍音も録れます)









さて、そこにきて、問題のギターですw






まず音響的に一番相性の良い順番に見ていきましょう。






一番は、、、「アコギ」です。



そのまま、アコースティックギターの生音ですね。




倍音を多く含んだキラキラした音が出せます。




生音だと音量的に厳しい場合は、マイク録り

もしくは、エレアコを使います。





スティール弦のアコギでジャズ、といえば

ジプシー系のジャズギタリスト達ですね。


ラインハルト系列…ビレリ・ラグレーンのジプシープロジェクト

良かったですねぇ。

ピアノレスでしたがw

渡辺香津美も日本のジプシー系ギタリストの一人でもあります。


パコ・デ・ルシアや一時期のマクラフリンなどの

スパニッシュ系の人達も

アコースティックギタージャズの中に入りますね。





しかし、プレイヤーの力量は置いといたとして、、、

やはり管楽器なんかが入ってくると、音量、音色、表現力で

なかなか同じ土俵に上がれない感は否めません。









で、2番目は、、、「ソリッドギター」です。

ソリッドの弦、ピックアップはエレキでありながら

独自の倍音を生みます。



エフェクターやアンプでちょっとクランチさせることによって

さらに倍音感を増やす事も出来ます。



音は歪むと、基本倍音が多くなります。


いわゆる、ロック、ポップスのアンサンブルの手法です。










でもってw

最後、音響的に一番他の楽器と相性が悪いのが

「フルアコ」です。


どーーーーーーーーーんw




完全に倍音を削った、あの

「モコモコした音」

他のアコースティック楽器とは混ざりません。






「いやいや、”あの音”こそがジャズギターなんじゃないか」





まったく仰るとおりです。






あの音こそがジャズギターである、とジャズ界では

世界的にも認められている訳です。








チャーリー・クリスチャンから始まり

ウェス、ケニー・バレル、ジョー・パス、ジム・ホール

グラント・グリーン、バーニー・ケッセル、パット・マルティーノ…








その後、そういうレジェンド達のやって来た事を踏襲しつつ…

そしてエレキギターの進化により…

新しい世代のコンテンポラリージャズギタリストが

登場します。





彼らは、フルアコースティックギターの表現力に限界を感じ

ある者はセミアコ、ある者はテレキャス、ストラトなどのソリッドギター

を持ち始めます。






もちろん、その歴史の中には

マイルス・デイビスという巨人がジャズの歴史を変えてきた

という事実あり

それに呼応する形で「ギタリストも楽器を持ち替えざるを得なかった」

という流れもあります。











でも、でも、でも、でも、、、、











かたくななジャズの世界で、ギターでやるジャズが認められるのは

「フルアコによるジャズギター」

なんですね。









マイク・スターン、、、、ジャズギタリストですか?


ギタリストなら答えるでしょう(下の他のギタリストに対しても)。

「ジャズでしょ」



でも他の楽器奏者、ちょっとジャズに詳しいリスナーは

「あの人、ロックとかフュージョンでしょ?」







ジョンスコは?


「ファンク、フュージョンかなぁ」





スコット・ヘンダーソンは?


「いやもう、完全にフュージョンでしょ」





ガスリー・ゴーヴァンは?


「そんな人知らん」





ガスリー・ゴーヴァンは、スティーブ・ヴァイ直系の

メタル系プログレ変態ギタリストですが

ジャズもバリバリ弾く、ジャズギタリストです。



テクニックやフレージング、コードヴォイシングなど

様々な独自のアイデアを持っていて

そんじょそこらのジャズギタリストなんかじゃ

とても太刀打ちできません。





まさに、マイク・スターンが自己のリーダーアルバムで

ゲストのスティーブ・ヴァイに返り討ちにあったように。

















ギター弾きが、ギター演奏の可能性

音色、エフェクトも含めて

追求しないで

誰が追求するのでしょう。














「ジャズギター弾き、である前に

 ギター弾きであれ」
















話が飛びまくってますが

頑ななジャズの世界では



ジャズギターというモノは、、、



1、フルアコ、またはセミアコを用い

2、あの例のモコモコ音を基本とし

3、決して歪ませず(フルチューブの飽和直前の歪みはあり)

4、チョーキングもしない




という訳の分からないルールが

信じられない事に今だに、強く根付いているのです。





全世界的にですよ。






これはもちろん、ギタリスト達はそんなバカなルールに

縛られている訳ではありません。

「”ギタリスト以外”の多くの楽器奏者 そして

 多くのジャズリスナー」

が、、、「じゃなきゃジャズじゃないんじゃない?」

という「イメージ」を持っているという事です。









さっき上げたギタリストは、それ故に

世界的に一流の名を欲しいままにしているギタリストでありながら

「ジャズギタリストではないよね」

と、どっかのジャズのドン(笑)、一般リスナーや

一部の権力のあるメディアが言っているので

認められてない訳です。






だからと言って、スターンやスコヘンがフルアコを弾いたりはしません。

「んなの、知るか」

と我が道を行ってますね。





素晴らしい。








そんな、ギターの可能性を追求する為、フルアコから飛び出した

コンテンポラリージャズギタリストの中で

唯一、ジャズ界から認められたのが

パット・メセニーです。






それは何故か?






さっき上で挙げた「古典的ジャズギターの条件」を

満たしつつ、ジャズギターを次の次元へと引き上げたからです。



ギター・シンセとかはご愛嬌で。







80年代、こぞってメディアが取り上げ

メセニーフォローワーが世界中に溢れかえりました。







まあ、ギタリストからしてみれば

スターン、ジョンスコ、メセニー、というのは

横並びの3大コンテンポラリージャズギタリストだった訳ですけどね。






ライブで見るなら、スターンくんが一番面白いです。

彼は芸人、パフォーマーですから。

個人的に一番好きなのはジョンスコです。















しかし、この今回のお話、、、

音響的な面から、という事ですが




その部分で見ると

メセニーの音色というのは、普通のフルアコからも更に

かけ離れた、トーンを絞った「超モコモコ音」な訳ですよ。

















さて、それから、時は流れ、、、


メセニー以降、長らくスター不在のジャズギター界に

超新星が現れます。










カート・ローゼンウィンケル










1970年生まれ、96年デビューにして

今やジャズギター界の皇帝と呼ばれています。






NYジャズギター界隈では、猫も杓子もローゼンウィンケル。

まさにメセニー以降、同じ現象が起こったように

ローゼンウィンケル以降という言葉が出来てしまいました。







何故そこまで認められたのか?








彼は基本セミアコを弾きますが

先ほどの「古典ジャズギターの条件」を軽々と突破!




新しいアイデアによるホーンライクなフレージングや

ピアノライクなヴォイシング、テクニックはもちろん、、、




特筆すべきは、やはり「音色」です。




ウォームなトーンにするほど倍音が無くなる

というジャズギターの弱点を

様々なペダルエフェクターを使う事で見事に克服したのです!





どういう機材を使い、どうやってそれを克服したのか?

というのは、興味のあるジャズギター弾きの方は

色々調べてみて下さい。




新たな発見があると思います。











長々と書いてきましたが

結局言いたい事はコレに尽きます。









①の内容も含め…



ジャズギター、というモノの一般的イメージがどうであれ


そのギタリストが「ジャズである」と思ったモノを突き詰めれば良い。


もちろん「需要」に合わせられれば尚結構。




ソリッドでペンタばっか弾いてても

たまにサラッとビバップを弾いて

他の楽器プレーヤーを出し抜けばイイんです(笑)。




そして、我々には、エフェクターとアンプという武器がある。







固定観念に縛られる必要はない。









「ジャズギター弾き、である前に

 ギター弾きであれ」