今、ゴゴゴゴッと「ギターで覚える音楽理論」と題して動画を上げていますが
そもそも、音楽理論ってなんなんですか?
必要なんですか?
と、自己否定するような疑問は昔から抱えてまして
まあ、それに対する答えも自分の中では出ているのですが…
僕が今動画で説明してる内容は、クラシックの世界では16世紀に確立された
「機能和声」というものです。
ボピュラーの世界ではクラシックの和声理論をもとに、18世紀に、より分かりやすく
コードネームやテンションなどがまとめられた理論が既に確立されていました。
よく、動画中で「コテン、コテン」と僕が言っているのは、そういう意味での
「古典理論」という事です。
現在のクラシックの世界では、機能和声は当の昔に崩壊し、様々な解釈、理論による
より自由度の高い音楽が作られています。
ジャズの世界でも、マイルスがバップ→モード→エレクトリック→ロックと辿ったように
コードから離れて、より自由な解釈で音楽を作るスタイル。
エレクトロニカなアーティストは電子音の一粒一粒をよりミニマルに構築された音世界で
表現したり、それがジャズと融合するようなスタイルもあります。
(ちなみに僕が好きなのは↑のようなスタイルです。マイスペ聴いて下さいw)
これらの現代の音楽(コンテンポラリーとまとめますが)は一聴すると、、、
ハッキリ言って、何が何だかさっぱり分からない、と感じる方も多いでしょう。
「こういうのって理論とかあるの?メチャクチャやってるだけじゃないの?」
はい、その通りです(笑)。
しかし、「創っている音楽家は " 自分の理論 "に基づいて」創っています。
それをどう感じるかは、受け手、聴衆の身に委ねられています。
つまり、音楽というのは、単旋律から始まり、「美しき機能和声」が確立し
そして、それを破壊し。。。
自由な、よりパーソナルな領域へ達したと言えます。
そんな音楽の歴史の中で、コンテンポラリーなものというのは
いわゆる「ミュージシャンズ ミュージック」であり
音楽好きな人の中でも、かなりマニアな方々が聴くモノだったりします。
現代でも、いわゆる一般の方々、普通に音楽を聴く方、大衆音楽、
総じて「ポピュラー音楽」と呼ばれているモノは
一聴して「わかりやすい旋律」「わかりやすいハーモニー」
要するに「美しき機能和声」が確立されていた時代の音楽、な訳です。
そもそも、大衆音楽=ポップス(ポピュラー音楽)なので
クラシックの時代から現代に至っても、常に「ポップスである」のは
機能和声の音楽である、とも言えます。
なので「通常は」音楽理論を学ぶ=機能和声を学ぶ、という事になっています。
ですが、ジミヘンやウェス等、過去の偉大なる音楽家、そして現代のコンテンポラリーな
アーティスト達の中には「音楽理論なんて全く知らない」という人達が大勢います。
別に知らなくてもイイんです。
作品が、プレイが、聴衆の心に届けば、それでイイんです。
あなたがもしアーティストなら、それは単なる「選択」です。
ただ、以前の記事にも書いたように、「感覚」と「ロジック」はお互いに補完する事ができます。
この辺は書き始めると、抽象論みたいになってきそうなので、話を戻しましょう。
という訳で、現代の「学ぶ」音楽理論というのは古典的な機能和声、な訳ですが
ポップスの世界でいうと、どうしてもコードやコード進行、機能の話ばかりになりがちです。
本来、音楽というのは、まず「単旋律(メロディ)」があって
それに協和(不協和)する「和声(ハーモニー)」が付加されて
そこにリズム的な要素や様々な要素が絡み合ってできたものです。
なので、音大等では「和声」といってソプラノ、アルト、テナー、バスの4声で構成された
声部の進行を実習でやったりします。
その際に「コード」や「コードネーム」といった概念は出てきません。
4声体の横と縦の繋がりの中で「基本進行」や「解決」を学びます。
何が言いたいのかというと
「メロディ(旋律)抜きにコードやコード進行だけの話をしても、全く意味がない」
という事なんです。
まあ、全くとまでは、、、言い過ぎですね。
つまり、音楽理論を勉強している方、しようとしている方に
「知っておいて欲しい」だけなんです。
まず、主旋律があって、、、、そこに寄り添う2つ、3つの旋律があって
そして、下を支える旋律があって、、、
小川の流れ、大河の流れ、春の暖かい風、冬の冷たい風、、、
そういう「旋律の流れ」で様々な情景、感情、風景を表現する
ポピュラー音楽でいう「コード」というのは、その「旋律の流れ」の「一瞬」を
「縦に切り取ったモノ」です。
その瞬間に鳴っている「和音」に対して「コードネーム」が付けられています。
コードネームというのは「ヴォイシング(音の並びの順番)」は表記できないので
コードが並んでいても「旋律の流れ」は見えてきません。
なので、コードネーム表記というのは、あくまで、「その時に鳴らす事が出来る和音」
ぐらいの解釈で「プレイヤーの共通理解の為のチャート」程度のモノです。
過去のmixi日記にも書いた事がありますが、そういう理由で僕はコードネーム表記
というモノが嫌いです(笑)。
便利なモノですけどね。
とまあ、ここまで書いたらお分かりのように、、、
ピアノならまだ、主旋律、内声の動きを考えたヴォイシング等
ある程度、本来の「和声」を意識しながら「機能和声」を学ぶ事が出来るのですが
ギターとなると、これまたちょっと難しい事になります。
クラシックギターの世界では、やはりコードは無く、楽譜で主旋、内声、バスを
弾き分けるので、ある程度正しい和声感覚を身に付ける事ができます。
が、やはりギター界の主流は、ロック、ポップス、ジャズギターという事になるので
なかなか「本来の機能和声」を勉強する事は難しいという事になります。
そんな、ある意味「音楽的なハンディ」を背負いつつも、僕自身も含め
「いや~、だってギター格好いいし、手にしちゃったんだから仕方ない」
と開き直り(笑)
「もー俺はペンタでブルースしか弾かねーぜ」
と、なるのも非常に良い事です。
だって、エレキギターに求められる「エレキギターらしいプレイ」というのは
まさにそういうプレイだからです。
そこも、結局はギター弾きとしての「選択」です。
僕の動画では、なるべく「本来の機能和声」を意識した音楽理論の説明を
「ギターだけを使って」やっていくつもりですが(たまに鍵盤出てますがw)
正直、ここまで書いた内容を伝えきれるかどうか分かりませんし
また、「いや、そんな事急に言われても理解できません」
というような事を動画中で話す場合もあると思うので
「こういう色んな背景があった上での、今現在の音楽理論はこうなってますよ」
と、いうのを長々と書いてみました。
ちなみに、、、、
最後に書くような事ではありませんが
音楽理論というモノが、始めに存在した訳ではありません。
音楽があって、それを説明する為に音楽理論というモノが生まれました。
いつの時代も理論というのは「後追い」です。
ではまた。