今回はかなり「下世話な話」です。
しかも、僕自身の独断と偏見に満ちあふれた見解なので
正しい事もあるが、それは違うでしょ?という事も多々あると思います。
まあ、いつもそんな感じですよね(笑)。
で、今回のテーマは、「プロ」として「プレイヤー」で活動するなら
どの楽器が「一番イイ」のか?
という事です。
カギ括弧をしている部分というのは、それなりに意味があります。
主にポップス、ロックの分野の話ですね。
そんなの、プロでやるのにどの楽器も大変に決まってんじゃん!
皆、それぞれに苦労してんだよ~!
もっともな意見です。
実際その通りだと思います。
しかし、そこをあえて、プロである=仕事である
実際の仕事量、労働単価、コスパ。。。
そういう面から、どの楽器が一番「対価効率」が良いのか?
という部分で考えてみると、意外と色々面白い事が分かってくるんじゃないでしょうか。
では、いきなりですが、最初に結論を書きます。
その楽器(パート)とは、、、
ベース です。
やっぱりね、と思った方は、プロの方もしくは色々経験されている方
かもしれませんね。
とりあえず、個々の楽器から見ていきましょう。
話を分かりやすくする為に、マイナス採点方式にします。
なので、その楽器の方は気を悪くしないでくださいね。
まず、ドラム。
これはアマチュアの方でも同様に、まず自宅での練習の部分で
最初からかなりのハンデを背負います。
かなり収入に余裕がある方でない限り、自宅に生ドラムセットを
組んで練習するスペースを確保するのは困難でしょう。
ライブや、特にレコーディングともなると基本自分のフルセットを
持ち込む事になります(もちろんレンタルも出来ますが…)。
持ち込む「車」「労力」「セッティング」
大変です。
一流の方ともなればアシスタントにお任せ、という事もやったりしますが
アシさんに払う給料をギャラから払えるレベルの方に限られます。
しかも、これは後述する他の楽器にも言えますが…
ディレクターやプロデューサーから「こんな方向性でいきますよ~」
とお知らせが事前に出ていれば「じゃあスネアはコレで、キックはコレかな?」
とある程度決めて持ち出せますが、その場合も、そうじゃない場合も
最低スネア等は2つは準備しておくのが常識です。
「もしかしたら振りモノ(タンバリン、シェイカー等)も準備しといた方がいいかな」
という事も、大抵の「プロ」なら考えるでしょう。
この辺りは、書き始めると長くなりますが
まさにこの部分がプロミュージシャン、音楽家の一番大変な部分でしょう。
クライアントのニーズに対して、どこまで考えて、どこまで準備をするのか。
アレンジャーやマニピ、作曲家も同じです。
しかし、その部分はプロとは言え、様々な考えの方がいますので
各々の「選択」とここでは書かせてもらいます。
クライアントのニーズに100%応える。
これはプロとしては当たり前。
ギャラに対して全く同じ対価の仕事です。
120%、150%、いや200%応えますよ!
これは、その方の「選択」「生き方」の問題です。
話がずれましたが、ドラムの場合はそういう「想定外の準備」というものが
非常に楽器的に、物理的に大きなモノになってきます。
実際レコーディングが始まって、ドラムトラック以外に
「パーカスもお願いします」という事になれば、2トラック、3トラック分の
仕事量になります。
さて、お次に、まとめて行きますが
鍵盤、ギター、マニピ、いわゆる「ウワもの」と呼ばれる楽器です。
レコーディングでは「ベーシック」といって、ドラム、ベース、ピアノ、アコギ等
リズムを一気に録ってしまって、エレキギターやシンセ、オルガンなどは別日に
「ダビング」という形で呼ばれる事もあります。
これらの上もの楽器は「楽曲のアレンジ、方向性」に大きく絡んでくるので
楽器のチョイス、アンプ、音色、エフェクト、非常に多岐に渡り
前述した「想定外の準備」も考えると持ち込みだけでも非常に大変です。
例えば、ギタリストならエレキを4本、アコギを2本、コンボアンプを2~3台
そして、膨大なペダルエフェクター。
人によっては「振りモノもいけますよ!」って方は振りモノ各種。
鍵盤なら、ローズ、ウィリッツァー、アナログシンセ各種
人によってはファルフィッサなどの珍しいオルガン、メロトロン、、、
もう書き始めるとキリがないですね(笑)。
もちろん、大型の楽器だと、事前に指定がある場合や
「その楽器を持ってるからお願いしたんですよ」
って事もあるでしょうし。
で、実際のプレイ面に関しては、エレキやシンセなどは
「飛び道具的な面白い音」
を求められる場面も多々あります。
シンセではなかなか出しにくい、生弾きのアナログなギターノイズ
を出したい時に、様々なペダルを変な繋ぎ方をして、グニャグニャな音を
要求される訳ですね。
もちろん、そういう上モノなので、コードバッキングから始まって
ダビングも多く、曲によっては5、6チャンネル分弾くということもザラです。
1曲の楽曲に対する仕事量は一番多いといってもイイでしょう。
余談ですが、よくポップス、ロックにストリングスを入れますが
弦の方々のギャラはハッキリ分かりやすくて明快です。
「一弾き」いくら、と決まっています。
つまり弦1トラックに対してXXX円。
ダビングで、もう1トラック弾くとギャラも2倍になります。
後述しますが、これは、鍵盤、ギターからすると、羨ましい部分ですよね(笑)。
これは、ハッキリと知ってる人から聞いた、とかではなく、僕の独自の解釈ですが
やはり、弦の方々というのは「正統な音楽教育」を受けている方々で
なにより、プレイやピッチに関してもの凄くシビアなモノを要求されるパートであり
ただダビングする、だけでも相当な技術、音楽力、聴力を要するから。。。。。
だと「一応」認識しています。
さて、もうそろそろ分かって来たんではないでしょうか。
で、このベーシックのリズム隊の楽器を弾くミュージシャンの中でも
「私はアコピ(アコースティックピアノ)しか弾きません」
「私はアコギしか弾きません」
という方もいらっしゃいます。
そういう方々は、他の畑で主に仕事をしていて、ポップスのレコーディングに
たまに呼ばれる、という方が多いような気がしますが。
なので、当然のごとく、アコースティックに関しては極めていて
超一流で、ギャラも同じくです。
以前のブログで書いたように
「この曲はメッチャ良いアコピ入れたいな~、じゃあもうアノ方でしょ!」
というレベルにまで達している方ですね。
エレキギターでもそうですが
前述したように、様々な機材を持ち込み
「何でも、どんなジャンルでもいけますよ~」
という方もいれば
ジャズマスとエフェクターだけ持ち込み
「もう俺はこの音で、こんなプレイしかできないけど、それでも良いんなら」
と様々なスタイルの方がいます。
仕事として「プロ」でやって行く時に、どういう「スタイル」でいくかは
やはり各々の「選択」です。
ただ一つ言える事は、機材が多かろうが少なかろうが
「誰にも真似できない必殺技、音、トーン」
をプロの方は皆、1つは持っています。
と、いう事で、最後にベースはどうなのか、という事ですが
まず、持ち込み機材に関しては、竿3~4本、アンプも1~2台
事前の指定があればもっと少なくても済むかもしれません。
アコベ(ウッド)が必要なセッションであれば、最初から通達があるでしょう。
RECでは、よっぽど変わった曲でない限り
通常1曲に対して1トラック弾けばOKです。
そのかわり「絶対に間違えられません」
これは他の楽器でも当たり前なんですが
上モノはダビングが多くなってくると意外と分からなかったりします(笑)。
コードの3度がミスって鳴らなくても「パワーコードです」と言い張ったり。
でもベースは楽曲の「リズム」及び「音楽的に」みても根幹をなす
重要なパートなのでミスは許されません。
と、まあ色々書いてきましたが
例えば、皆同じくらいのレベルのミュージシャンで
通常の一般的なポップスを録りますよ、という現場で
皆ギャラも同額、だとした場合
各々の仕事量に対する対価効率が一番良いのは
どの楽器になるのか?
なんとなく見えてくるんじゃないでしょうか。
もちろん、こんな風に書いてきた事だけで、まとめられる世界では
ありませんし、もっともっと様々な要素が絡んでくると思います。
例えば、予算の少ないプロジェクトの場合
「一人のミュージシャンがより多くの事をやってくれる」
方が、当然ですが低予算で済みます。
J-POPバンドにありがちなドラム、ベース、ギター、ボーカル&ギター
という編成の場合、サポートでキーボーディストを入れましょう
となった場合
「曲によってはアコギも弾けるキーボーディスト」
そんな人がいれば、アレンジ的にもライブパフォーマンス的にも
幅が広がります。
プレイヤーとして
「あの人に頼めば、とにかく色んな事をやってくれる」
というのを売りにしている方もいますし
さっき書いたような「必殺の一芸」のみ
を極めている方もいます。
「選択」
です。
好き勝手書いてるけど、あんたベーシストの何が分かる訳?
とお叱りを受けるかもしれませんが
僕はベースが大好きですし、プレイや仕事的な面から見ても
プロでプレイヤーとして活動するなら「ベース」だな
と、本気で思ってます。
もちろん、僕はベースは「遊び」でしか弾けません。
ギター弾きです(笑)。