この論文を読むに至った背景:ドラベ症候群はけいれん発作だけでなく、注意欠陥や多動、自閉等を伴い、患者や家族の生活に多大な影響を及ぼします。この論文は100名弱のドラベ症候群患者の行動障害の種類や頻度、生活の質に関して、年齢毎の推移などを分かりやすくまとめている論文で、ドラベ症候群の家族にとってもとても参考になります。
論文のタイトル:ドラベ症候群の行動障害と健康に関連する生活の質 Epilepsy Behav. 2019 Jan;90:217-227.
著者:オランダのUtrecht大学の研究グループ
本研究の目的:
1)行動の問題と生活の質を、健常人やドラベ症候群以外のてんかん患者と比較すること
2)行動障害と生活の質の関連性をみること
3)痙攣の頻度や認知障害、行動障害、生活の質の関連性をみること
研究の内容
P対象:SCN1A遺伝子異常のあるドラベ症候群患者85人
E介入:行動障害と生活の質をカルテやインタビューでスコアリング
C比較:健常人、ドラベ症候群以外のてんかん患者31人
O結果:行動障害の種類や頻度、生活の質等との関連をみた
主な結果:1)ドラベ症候群の56.5%で行動障害を認め、中でも”注意”に関する問題が62.3%と最も頻度が高かった。健康に関する生活の質は、他のてんかん患者よりも低かった。特に身体機能や社会的機能の質は低く、高年齢になるにつれて減少さえしていた。
2)”注意”、”攻撃性”、”自閉性”といった行動障害はより社会的機能の低下と関連していた。
3)認知機能の障害と行動障害は生活の質の低下の主な要因であった。
その他、参考になった結果)
4)痙攣の頻度(意識消失を伴う発作or長い発作)に関して、5歳までは全例が月単位より多い痙攣頻度だが、6歳以上では20~30%が年単位の発作になる。大きくなっても日単位で痙攣発作を起こす患者も10~20%はいる。
5)高度な認知機能障害は、5歳までは50%未満の頻度だが、18歳以上では70%以上となる。
6)6歳以上で自閉は40~50%の頻度、注意欠陥多動性障害は20~30%の頻度で存在した。
感想)
・行動障害56.5%の頻度は少し低いという印象を受けたが、注意障害が主な問題というのは納得できる。それほど症状に幅のある症候群なのだろう。
・年齢と共に身体機能や社会的機能の質が低下していくことは衝撃的だが、社会がより高度化するという相対的な面もあるだろう。
・年齢が高くなるにつれて、患者は生きずらくなるという社会を反映している結果ともいえる。
・著者も強調していたが、この結果を踏まえた問題解決やマネージメントが何より必要だ。