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ドラべ症候群の勉強をしよう

難治性てんかんのドラべ症候群に関する医学論文を分かりやすく紹介します。

この論文を読むに至った背景:ケトン食に関して悩んでおられる方のブログを読んで、私もケトン食について勉強してみようと思った。複数の論文でケトン食の有効性と耐用性(副作用に耐えうる)の報告はあるが、今回は比較的新しい論文で患者の数が多いこの論文を選んだ。
 
論文のタイトル:ドラベ症候群60人に対するケトン食の効果
Front Neurol. 2019 Jun 13;10:625.
 
著者:中国の北京大学第一病院の研究グループ
 
本研究の目的:ドラベ症候群へのケトン食の有効性と安全性の評価
 
研究の内容:
P対象:ドラベ症候群患者60人(うち女児26人、SCN1A異常ありは50人)
E介入:2008~2018年までに12週以上のケトン食治療(修正ジョンホプキンス療法、ケトン比4:1)を行った患者(過去にさかのぼってデータを回収した)
C比較:ケトン食療法開始前と開始後の痙攣発作の頻度、脳波、認知機能、言語、運動機能等を比べた
O結果:ケトン食の効果と副作用を評価した
 
主な結果:
・60人中、6か月以上ケトン食を継続した患者は41人(68%)、1年以上継続は22人(36.7%)。
35/60人(58%)は3か月以内に効果を認め(痙攣発作の頻度が50%以上減った)30/35人(85.7%)は開始2週以内に効果を認めた
・6か月以上継続した患者では25/41人(61.1%)で、1年以上では17/22人(77.3%)で効果を認めた。 
・60人にうち10人は1年~2年継続の間(中央値20か月)で完全に発作がなくった。
・ケトン食の効果があった患者では脳波も改善した。
22人の患者では認知機能の改善、14人は言語機能、13人は運動機能の改善を認めた。
・ケトン食で効果のあった患者と効果のなかった患者では、発症年齢やケトン食を開始した年齢、SCN1A異常の有無や抗けいれん薬の数に差はなかった。
・主な副作用は消化器症状(便秘17人、下痢4人)と代謝異常(低血糖6人、高脂血症4人、アシドーシス4人)だった。体重増加不良12人、尿管結石3人、肝機能障害2人。高脂血症がひどかった1例を除いて、ケトン食療法は調整しながら継続できた。
 
その他、参考になった結果)
・3~6か月ケトン食を継続しても発作頻度の改善がなくケトン食を中止した患者は9/60人(15%)
ケトン食療法が効果的だった患者のうち9人は治療中にケトン食の効果が減った(発作の頻度が一旦減ったが、治療の継続につれて頻度が再び増えた。)
 
感想)
・ケトン食は60%程度の患者に有効で、効果は比較的早く出るのが一般的だが、効果が弱い患者や効果のない患者もいる。どんな患者に対して効果的で、もしくは効果的じゃないかは、本論文では結論できていない。親の負担や副作用のある治療のため、効果的な患者が前もって分かればさらに選択しやすい治療になるだろう。
・痙攣の頻度が減るだけでなく、発達の改善にも影響する結果には驚き。痙攣の回数と発達には関連がないという他の研究もあるので、痙攣の回数が減ったから発達が伸びたわけではないのだろう。
・効果がない場合にどこまで治療を継続するかは本研究の結果からは述べられない。
・ケトン食療法中に一部の患者で効果が弱くなることは他の論文でも述べられているが、その原因は今の所不明とのこと。
・副作用は軽微との結論だが、長期的な研究ではないので注意。本論文にも記載があるが、神経内科医と栄養士がしっかりサポートしてケトン食を実施するのが大事なのだろう。