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ドラべ症候群の勉強をしよう

難治性てんかんのドラべ症候群に関する医学論文を分かりやすく紹介します。

この論文を読むに至った背景:ケトン食療法に関しての論文に反響が大きかったので、複数の研究結果をまとめた最近の論文をみつけたので、読んでみました。
 
論文のタイトル:ドラベ症候群の治療選択とマネージメント
         Epilepsia. 2019 Dec;60 Suppl 3:S39-S48.
 
著者:イギリスのGreat Ormond Street Hospitalの研究グループ
 
本研究の目的:適切な治療選択やマネージメントの方法を提示すること
 
本研究の結論:抗てんかん薬に難治の患者では、早期にケトン食療法を検討するのが良いだろう
 
<アルゼンチンからの報告(2005年,2011年)>
・1施設89人のドラベ症候群患者の内、42人がケトン食療法(ケトン比4:1)を行った
30/42人(71.4%)が治療開始2年後も治療を継続。そのうち3人(10%)は痙攣が消失。15人(50%)は痙攣の頻度が75-99%に減少した。5人(16.6%)は50-74%の減少。7人(23.3%)は25-50%の減少だった。
・14人は2年間経過後にケトン食をやめた。やめた後は、1人は痙攣消失、9人は散発的な痙攣発作、4人は元の発作の状態に戻った。
全体の約75%の患者でケトン食の効果があった。
・副作用は一次的なものでケトン食を中止した患者はいなかった
痙攣発作が劇的に減少しなかった患者でも、生活の質が改善した患者もいた。
抗てんかん薬は1~2剤に減らすことができた
 
<フランスの研究グループからの報告(2011)>
・3歳以上の15人の患者にケトン食療法(ケトン比4:1)を行った
治療開始1か月で10/15人(66%)が痙攣頻度が75%以上減った
その効果は8人の患者では3-6か月効果が持続し、6人は9か月効果が持続した。5人は12か月以上効果が持続し、1人は痙攣が消失した。
・痙攣の頻度が減らない患者でも、多動などの行動障害が改善したケースもあった
・副作用でケトン食を継続できなかった患者はいなかった。
 
<オーストリアの研究グループからの報告(2015)>
・ケトン食療法を行った32人のドラベ症候群患者の内、3か月で70%、12か月で60%で痙攣発作の頻度が減少した。てんかん重積を起した患者はいなかった。
・液体食よりも固形のケトン食を行った年長児の方が拒否が多かった
 
<アメリカの研究グループからの報告(2013)>
・20人の患者(SCN1A変異あり)のうち13/20人(65%)に痙攣頻度50%減少を認めた
・6/20人(30%)では90%以上の減少を認めた
75%の患者で認知や行動の改善を認めた
 
<中国の研究グループからの報告(2018)>
・17/20人(SCN1A変異あり)(85%)はケトン食療法開始(4:1)3-6か月で痙攣頻度が50%減少
・痙攣重積や5分以上持続する痙攣発作はなくなった
80%の患者で認知の改善がみられた。
 
感想)
・どの報告でもケトン食療法は概ね60-70%の患者に効果があり、30ー50%の患者には非常によく効く治療といえる。
・治療経過中に発作が消失する例から、効果が減弱する例もあり、”症候群”という病名からも患者にも色々なタイプがあるのだろう。
・一部は減薬の効果もあると思うが、痙攣の頻度が減らない場合でも、認知や行動の改善がみられるケースがあるのは驚き。患者や家族の負担を強いる治療でもあり、何が優先されるかは個々のケースで異なるだろう。