「赤ずきんちゃん気をつけて」の作者、庄司薫さんが亡くなった。
そうだ、そんな素敵な本があった。
高校卒業の時、のちに建築家になるK子が卒業生代表で答辞を読むことになり、
クラスの友人たちとその内容をみんなで考えた。
中身は忘れてしまったが、
「薫くんはこう言っています・・・」というフレーズを入れたことは
はっきり覚えている。
小説の一部を取り入れたのだ。
先日、映画「もう頬杖はつかない」をテレビのなんとかチャンネルで観た。
何度か観ているが、
桃井かおりさんの鮮烈な演技は、何度観ても、うっかり頬杖をつくほどため息がでる。
これは見延典子さんの名著の映画化だ。
1960年代から1970年代を知る人は少なくなっている、というより
その時代を語りたい人は少なくなっている中、
私はいつまでたっても、その時代から抜け出せない。
さらに遡って
中学時代に読んだ
石坂洋次郎の「若い人」
原田康子の「挽歌」
この読後感からも
抜け出してはいない。
うっかり、
高校3年生のとき、受験勉強を中断して小説を書いて、あるコンクールに応募したことがあった。
まさか入選して道を外しそうになったことも
その後の私の人生の、「なんとなくなあ・・・・」という
ぼんやりしたモヤモヤの原因の一つかもしれない。
というようなことを、
ぼんやり考えながら、ああ時代は変わったと背中を伸ばす。
調べ物をしていて頼ったAIに、「よい発想、着眼点ですね」などと激励され
この時代を生きているのだとしみじみ思って、思わず笑ってしまった。
あの頃は良かったなどとは間違っても思わない。
戻りたいとも思わない。
が、
あの頃ならではの、ぼんやりした風が、なんとも懐かしい。
もう頬杖をつかないと決めた女子大生も
赤ずきんちゃんを選んだ薫くんも
みんな、どんな大人になったのだろう。
高校の東京での同期会の案内が来ていたことを突然思い出す。
返事をしていなかった。
欠席はしかたがない。
みんな、いい大人であれ、と思う。
お隣からさくらんぼをいただいた。
目が覚めるような、美しい紅色に感謝である。
