どうも、わたしです。
今回は二階堂奥歯さんの『八本脚の蝶』をご紹介します。
この本は本当に中毒性があるので、精神的に安定していないと引きずられます。
安定していても、引きずられます。
二階堂奥歯さんは編集者の方でブログに日記をつづっていました。それをまとめたのがこの本です。
【いました】と過去形で話しているのは、彼女は自殺をしたからです。
最新の日記にはこう書かれています。
【最後のお知らせ
二階堂奥歯は、2003年4月26日、まだ朝が来る前に、自分の意志に基づき飛び降り自殺しました。
このお知らせも私二階堂奥歯が書いています。これまでご覧くださってありがとうございました。】
その前には、家族と恋人、雪雪さんという友人に宛ててお別れの文章を書いています。
※家族に対して
【自分たちになにかできたんじゃないかとは思わないで。
とくにお母さんとお父さん。私たち姉弟はみんなこんなに性格が違う。
私の性格は私が作ったの。私の責任なの。
こんな性格の私でも、とても楽しかった。
家族を愛し、家族に愛されるという幸福の中で私は生きてこられました。
私のために何かすべきだったんじゃないかと、自分たちに落ち度があるんじゃないかと、決して思わないでください。
どうか、私のために、幸せになってください。絶対に自分を責めないで、私のために、どうか、お願いだから、自分を責めないで。しあわせになってください。】
※雪雪さんに対して
【あなたはもっと遠くまで、私が行けなかったところまで行ってください。私の思考能力の全てがあなたに宿りますように。】
※恋人に対して
【ありがとう。世界で一番大切な愛する恋人。
あなたがいたから私は最後の五年間を生きてこられたの。
あなたはとても強くて優しい人。世界で一番私を幸せにしてくれた人。
そしてとてもかわいいひと。
だいすきです。だいすきです。だいすきです。
幸せになって。私をしあわせにしてくれたみたいに、自分をしあわせにして。
私がこんなじゃなかったら、きっと私と結婚して、子供同士みたいな家庭を作って、私もなぜか子供を作ってそれでお父さんとお母さんになってたかもね。それとても楽しかっただろうね。ごめんね。ごめんね。そうできなくて、ごめんね。愛してる。】
わたしは、基本的に自殺を美化するつもりはありません。
ただ、彼女の書く文章が好きでした。ブログにはかなり不安定な彼女の本音や思想が散りばめられていて、読むことが辛くなったり、何が言いたいのか正直わからなかったりします。でも、異様に惹かれる文章であり、不安定感。そして、こんなに愛されて、必要とされていたのに、拭いきれなかった苦しさ。それが詰め込まれています。日記以外にも生前親交があった方々のコラムや対談なんかも収録されていて非常に読みごたえはあります。
今でも【二階堂奥歯】で検索してくれるとブログに飛べます。あえてリンクは貼りません。
このブログを読んだ時、本当に眩暈がしました。
きっと、わたしは彼女を知ってから、不安定で少女性の強い人に憧れて、なりたいと心底願うようになったのかもしれません。
詩的文章と圧倒的な読書量。こんなに本を読んで、言葉にして、空想できる人はそうそういません。
わたしも、消えたいとか死にたいとか思ったことはあります。
でも、こうして生きてます。多分、ずっとそんな風にして生きていくのでしょう。
結果的に二階堂奥歯さんは死を選択しましたが、わたしは消えたい苦しいと思うたびに彼女のブログを読みに行きます。
本心を言えば、死なんて選んで欲しくない。
あの文章の中に彼女は生きていますから、もし苦しいと思ったら、読んで酔いしれて、もう一日だけ生きようって思ってください。
きっと彼女も誰の死も望んでいない。自分の死以外、望んでいない。
いつまでも、わたしの心の中に。
オウンド版ブログも読みに来てね!