傑作 | 僕のこだわりブログ

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勝手気ままに綴るこだわり派の方向けのブログです。

今年の春に偶然購入した三陽商会のSANYOアンブレラコートはM51タイプの通称モッズコートでした。あまりのすばらしさに今回トレンチコートも手に入れました。

一見するとナイロン素材のトレンチコートですが、質感・縫製・素材・機能性すべてが高次元であり、素晴らしいコートです。また濃色の場合、コットン生地ですと色あせは防ぐことはできません。ですので、濃色の場合にはナイロン素材(ウールやカシミヤは除く)が正解であると思います。

素材は高密度のポリエステル生地で、しわにも強く上質な光沢があり非常に軽いです。画像ではわかりにくいですが、実物はかなり上質です。

このコートは青森のサンヨーソーイングで縫製されています。あの100年コートと同じ工場です。

素材から縫製まですべて日本で行われた商品にのみ認定されるタグです。

ラグランスリーブなのですが、表にステッチがでない仕様ですから野暮ったさは皆無です。しかもこの仕様の理由は防水性確保と動きやすさの両立です。防水性確保とはいっても止水テープのような接着を用いず、手間のかかる生地のつまみ縫いを行うことで実現しています。しかも耐水性能試験は傘と同じで、それもパスしています。

ボタンは本水牛ボタンです。質感はムーレーのそれとほぼ同じです。アンブレラコートですが、悪天候以外でも着ることができる上質な生地や部材なんですね。特にスプリングコートには花粉対策を含めて最適です。

台襟の曲線と上衿の曲線によりこの手のアウターが苦手な襟立もきれいに維持できます。ベルト類は艶消しの金具です。ボタンが重厚なのでちょうどよいバランスですね。またナイロン素材でも縫製はかなり細かくてきれいです。正直ここまでの縫製の出来栄えはロロピアーナやエルメネジルドゼニアやブリオーニ等の超高額ブランド以外では見ることができません。ロロピアーナ好きの私でも驚きました。

 

実はコットンやナイロン生地の場合表のステッチがきれいでも、裏は汚いステッチ跡の商品がかなり多いです。もちろん上記のブランドではありえないのですが、それ以外ではほとんどの場合難ありです。いくら雑誌で見る人気ブランドでもです。しかしこのコートは本当に両面きれいなのです。恐らくミシンは同じ縫製用でも針の質や縫製時の送り技術と両面生地の仕立てが全く違う次元で行われているのではと思います。何も考えないで縫製をした場合、上生地と下生地で微妙なずれが生じて下糸の張力が刻々と変化して、結果として乱れたステッチ跡になるのです。

袖口のベルトです。金具が主張しすぎていないです。いわゆるアンティーク仕上げですね。

バックベルトです。縫製も相変わらずきれいです。とにかくごまかしがないのです。

センターベントはインバーテッドプリーツ仕様でベルトもついております。スリムでも動きやすさとシルエットの美しさは確保しているのです。

インナーにはボタンで脱着できる薄手の中綿インナーがついています。薄手ですが、中綿は吸湿発熱素材であり、生地は非常に滑りの良いキュプラです。ちなみに袖裏には帯電防止性能が高く、非常に滑りの良い素材があります。正直ここまで上質な裏地は他では見たことがありません。

内部にはこのようなファスナー付きポケットが左右にあります。ファスナーの質感や取っ手のおさまり具合など細かなところにも気づかいがあります。

 

このようにここまでこだわり抜いているコートが10万円未満で購入できること自体が驚きです。セレクトショップで売られている20万円未満のインポート商品とは比較にならないくらいの出来栄えです。この商品に用いられている素材や縫製をベースに各ショップがデザインを別注していくという試みをすれば非常に面白いのにと感じてしまいます。

 

以前同社の100年コートをとあるセレクトショップで販売していたことがありました。しかし売れ行きは芳しくなかったと聞いたことがあります。私が思うにサイジングのバランスの悪さにあると思います。このアンブレラコーとはヨーロッパブランドに近いフィッティングですので購入したのですが、100年コートに関してはセレクトショップ別注の型紙で再トライしてほしいです。