服部静尚氏が説明される「古田武彦氏の多元史観で古代史を語る」の「1.邪馬台国と卑弥呼」の「中国正史が示す邪馬壹国」の動画の「ポイント」と「所感」は以下の通り。
「ポイント」
・中国の古代王朝に正史が残されていて、そこに当時の倭・倭国のことが記載(漢書、後漢書、三国志、宋書、隋書、旧唐書)。
・漢の時代(1世紀前後。後漢書)から唐の時代(7世紀。旧唐書)まで、倭国を朝鮮半島の東南にある島国と記する。東南にある島国は九州しかない。
・旧唐書には倭国伝と日本国伝があり、倭国と日本国は別の国と記載。
・江戸時代の学者(本居宣長、鶴峯戊申)は中国正史にある倭国は九州にあったと見抜いていた。
・7世紀以降、日本国が倭国を併合した。
・「金印を授けられた倭奴国」「邪馬台国の卑弥呼」「倭の五王」「日出処天子」はすべて九州。
・明治以降の歴史学者は中国正史をでたらめとし、倭国はヤマト王権のことで、あくまで記紀が正しいとする一方、中国正史にある「邪馬台国」「卑弥呼」「倭の五王」の部分だけは歴史事実として使うこととした。戦後、皇国史観は否定されたが、この見解は現代にも引き継がれている。
・古田武彦氏は、中国の正史も日本の正史も政権にとって都合の悪い所は嘘を書くが、どうでもよい所は事実を書く、中国にとって日本は周辺諸国の一つ、嘘を書く理由はない、と指摘。
「所感」
・「金印を授けられた倭奴国」と「邪馬台国の卑弥呼」が九州である事には異論ないが、「倭の五王」と「日出処天子」が九州であったかについては確認が必要。
・「倭国と日本国は別国との中国正史の記載は認めない」とする現在の歴史学会の考え方の根拠を確認したい。