おはようございます、京やの勝也です。

 

昨日は

「色掛け」について書きましたが

今日は

「色掛けができない品」についてです。

 

京やがお願いしている染屋さんでは

ちりめん、綸子、紋意匠、紬、お召し、パレス等

絹でしたら基本的には染めることができます。

 

問題になる一つ目は「生地の劣化」です。

生地は湿気や高温などの

悪い保存状態によって伸縮性がなくなり

弱くなってしまうことがあります。

これを「弱地」といいますが

生地の端を少し湿らせて

指先でちぎるようにすると

「ピリッ」と裂けてしまいます。

こうなってしまうと

染めたり、引っ張って整えたりすることが

難しい生地ということになります。

 

二つ目は「寸法」です。

生地はしっかりしていても、30年程前ですと

当時の「生地巾」がもともと狭いので

生地巾が足りずにお好みの仕立寸法にならない場合があります。

現在の生地は、女性の体格の変化に合わせて

九寸八分から一尺ほどありますが、

当時は九寸五分より狭いものが多いのです。

生地巾が狭いことを考慮して

用途などを考えることになります。


そして

色掛けが全くできないというわけではありませんが

仕上がりが想像しにくいものもあります。

 

例えば「刺繍」は

刺繍のまわりに「染料溜まり」ができやすいのですが

この染料溜りが「ぼかし」のように見えて味になることもあります。

 

「絞り」のものは色掛けをして仕上げると

シボが平たくなり「絞りの風合い」は無くなりますが

「染め匹田」のようになり

結果オーライで面白くなることもあります。

 

「色掛け」は

お客様、職人さん、悉皆屋(呉服屋)が

想像力と知恵と力を出し合って

元を活かしながら新しいものを作り上げる作業です。

 

モノが溢れている現在、

現物から選ぶことに慣れてしまうと

不安の方が大きいかも知れません。

 

それでも、一歩踏み出して

予想以上の仕上がりを

心待ちにして頂ければと思います。

 

 

 

小平「染と呉服京や」のホームページ

東京小平の着物専門店
http://kimono-kyouya.com

 

 

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