おはようございます、京やの勝也です。

 

下着、比翼、半比翼について。

 

ミセスの最高格式を持つ留袖は

最後まで「下着」という

白い着物を重ねて着ていました。

 

最近では下着というと

ランジェリーを指すようになりましたが

本来はこれのことです。

着物の場合は「肌着」「裾除け」の次に「襦袢」。

その上に「下着」、最後に「着物」です。

「下着」は「下の着物」ということでしょうね。


黒留袖であれば白襦袢とは別に

表の黒い着物と「下着」という白い着物を

二枚重ねて一枚のように扱って着たわけです。


慶事のための衣装ですので

「重なる」のはおめでたい。

(もちろん帯は「二重太鼓」です!)

 

さて、

重なることはよいのですが、

戦後は毎日着物を着る方が減り

普通の着物の着付けさえも難しく感じる時代となりました。

そのような中では

下着の重ね着は大変です。

また、空調が整い「寒い」部屋も無くなりましたので

下着を着ることは

「暑い」「重い」「着付けが難しい」というデメリットが出てきました。


そこで普及したのが

表の着物の内側に、下着の着物の生地を

効率よく縫い付けてしまう方法である「比翼仕立て」です。


着付けてしまうと

見た目は下着の重ね着と同じようになり

背の部分は生地がないのでその分軽い。


現在の黒留袖、色留袖は

基本的にはこの「比翼仕立て」をしますね。

 

黒留袖は別として

色留袖ではこの比翼仕立てでも「まだ重い」という方があり

比翼を付けずに「訪問着仕立て」にして

伊達衿のみ付ける方もいらっしゃいます。


また、衿と衽(おくみ)・袖口だけに生地を付ける

「半比翼」という方法もあります。


着物の模様の格によって、

またはお召しになるTPOに合わせて

快適な「格式ある着物」を作ることができます。


見た目は重厚に格調高く

着心地は少しでも軽く。


相反するご要望に

着物も変化しているのです。

 

 

小平「染と呉服京や」のホームページ

東京小平の着物専門店
http://kimono-kyouya.com

 

 

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