悲しさと悔しさでスーホは、幾晩も眠れませんでした。でもやっとある晩、とろとろと眠り込んだ時、スーホは白馬の夢を見ました。スーホが撫でてやると白馬は体をすり寄せました。そして優しくスーホに話しかけました
そんなに悲しまないでください。それより私の骨や皮や土や毛を使って楽器を作ってください!そうすれば私はいつまでもあなたのそばにいられますから。
スーホは、夢から覚めるとすぐその楽器を作り始めました。夢で白馬が教えてくれた通りに骨や皮やすじや、毛を夢中で組み立てていきました。楽器は出来上がりました。これが馬頭琴です。
スーホはどこへ行く時もこの馬頭琴を持って行きました。
それをひくたびにスーホは白馬を殺された悔しさや、白馬に乗って草原を駆け回った楽しさを思い出しました。そしてスーホは自分のすぐ脇に白馬がいるような気がしました。
そんな時、楽器の音はますます美しく響き聴く人の心を揺り動かすのでした。やがてスーホの作り出した馬頭琴は広いモンゴルの草原中に広まりました。そして羊飼いたちは夕方になるとより集まって、その美しい音に耳を澄まし、1日の疲れを忘れるのでした。
おしまい