岐阜県在住となりましたが、そこで早速出会ったお酒が今回の『仙禽』です。




 裏を見ると……
 出た!精米歩合90%以上!超古代製法の酵母無添加!
 この前衛的構成、『ナチュール』シリーズと同じですかね。
 
 参考→『仙禽 ナチュール サンク』
 
 しかし改めて見るに原酒でアルコール度数14度はかなり低めだなぁ。低アルコール酒が流行するなか、この要素ひとつとっただけでも原酒を作るあらゆる蔵元に挑戦状を叩き付けているようなもの。超古代製法恐るべし。
 一昨年度醸造したものを1年寝かしているようなので、実質27BYのお酒ということになるようです。
 
 
 まずは常温で。
 上立ち香はツンとした果実の香りが。これはかなり酸味がありそう。
 葡萄というか、赤い実のような感じですかね。木の実的な、ヘーゼルナッツシロップのようなニュアンスも。
 『ナチュール』に比べ、かなりストレートに味が響きます。確かに熟成された感はあるなぁ。
 
 この甘味と酸味を基点とした、ツルっと滑らかな液性とヴェールのように全体を纏ううっすらとした乳酸の旨味。この辺は『ナチュール』にも感じられた長所がきちんと生きていますね。
 『仙禽』ならではの酸味も明快で伸びがいい感じ。ただ酸味は常温でもかなり鋭利。常温では甘味と酸味がちょうどいい感じで調和しています。 
 
 
 そう、常温なら……
 このあと冷やしましたが、酸味が常温でも強く感じられたこともあり冷すのはちょっと嫌な予感がしていたのです。
 ただそれでも冷酒こそが日本酒の基本ゆえ冷やす!
 結果ですが……
 
 
 恐ろしく酸っぱい!!
 剥き出しの刃物が喉元に刺さるかのように酸味が襲いかかりました。常温のときに感じられた甘味が表に出にくくなったからなのか、酸味の一点により焦点が当たったというか。しかしどんだけ出鱈目な鋭角の酸味なんだか。
 何だろうな……店側が常温で置いていたのはなんでなのか、今ならなんとなく分かる気がします。このあまりにピーキーな酸味……ひょっとしたら常温で飲むことを前提とした設計であって、常温でも酸味を感じるお酒をコンセプトとしているのだろうか。
 なので、冷やした『仙禽』をまた常温に戻す羽目に。でも常温ならいいバランスの酸味にまた戻ってくれます。
 



 ついでに、この手の日本酒に合わせる秘密兵器ミモレット。
 ここまで酸味が強いなら相性がいいと思い合わせたところ、『仙禽』の猛烈な酸味とミモレットのカラスミ的なコクが見事に合致。いい感じにマリアージュしてくれました。

 とにかくインパクト抜群のお酒です。
 いや、インパクトがあるからこその『仙禽』なんでしょうけど。


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