今回のお酒は『生道井(いくじい)』というお酒です。



 
 愛知県知多郡東浦町の地酒です。蔵元の方から直接購入しました。
 本当は試飲のとき飲んだ『槽口直取り生酒』という特殊な汲みとり方のあらばしりが飲みたかったのですが無かったため自重。こちらはたまらなく美味かったですね。今度あったら買います。ええ(追記、買いました)。
 『生道井』の銘柄の由来は、原田酒造様のある場所から西側にヤマトタケルの掘った井戸があるという伝承からだそうです。
 ヤマトタケルは言わずもがな『古事記』『日本書紀』を代表する大英雄。愛知県はヤマトタケルが用いた剣で知られる草薙剣を祀る熱田神宮があるなど、彼の足跡が至るところに残っている地域でもあります。岡崎を流れる矢作川も、ヤマトタケルが"矢を作った"ことに由来を持っていますしね。
 
 この『生道井』は、まさにヤマトタケルの掘った井戸と同じ質の水を使った蔵元のお酒。日本神話のロマンに触れることができるお酒なのです。



 知多半島産の契約栽培米である若水(わかみず)を用いた地酒らしい地酒でもあります。
 "衣ヶ浦若水"の名前は原田酒造様の近所にある湾に由来しています。その地で作られたお米を用いているという、まさに『生道井』のテロワールと言うべきでしょうか。
 若水は以前『隆』を飲んだことがあるのですが、オリジナルは愛知県である模様。
 
 では、味はいかがでしょうか。
 
 コクのあるアミノ酸の旨味に、豊富なミネラルによって織り成される重厚な味わいです。
 焦がしたバターのような香りに、ほのかな甘味、あとから来る苦味と『千瓢』『众』を思い出すかのような味わいです。乳酸強めのタイプなのかも。
 そのさまはまるで、弓に矢を番えて、放つかのような。
 『千瓢』よりも酸味は強く、『』に比べたらこちらのほうがミネラルがあるためかソリッドですかね。鋭さがこちらにはあります。
 聞いた話では、原田酒造様の用いている仕込み水は縄文時代に貝塚だったところに掘られた井戸だとか。貝塚由来のミネラルによる独自の味わいです。
 そういえば、白ワインの代表格のひとつであるシャブリはキンメリジャンというジュラ紀のサンゴやウミユリの化石に由来する石灰岩の効果でミネラルの感じられるワインにしていると聞いたことがあります。『生道井』はシャブリに通じるものがあるかもしれませんね。シャブリに牡蠣を合わせるかのごとく、今度『生道井』と牡蠣でも合わせてみようかな?鯖でも相性が良かったので、多分合う可能性が高いです。
 
 しかし、今流行りのフルーティーなお酒とは異なりこうした独自性で地酒の王道を貫こうとしているお酒もいいですよね。こうした蔵元は応援したいところです。  



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