今回は『生道井』です。
二回目ですかね。前回とはよく似たスペックのもので、直汲み方式のあらばしり生酒となります。
前回はこちら『生道井 特別純米 若水』

注意書きですね。昨今の日本酒は炭酸を含む 直汲みがひとつのトレンドとなっていますが、そんな風潮にあってもこうまで書かなければならないほど酵母が活性化しているのだろうか。
これは期待です。
おっ!これは確かに炭酸が強い!これは俄然期待。
味わいは焦がした砂糖のようなニュアンス。ブドウやリンゴのような感じもありますし、アップルパイとかにも近いかも。
しかし何より炭酸の連射数が違います。口に含むと鼓膜にまで響く圧倒的シュワシュワ感。ピチピチ感。
これ、はっきり言って『風の森』よりもガスの溶存数上回ってないか?でも酸味はしっかり伸びていて、この炭酸を味わうだけでも飲む価値ありと言えるレベル。知多酒ならではのミネラル感と、含んだ瞬間から広がるも即座に凝縮される酸味のダイナミクス。
まるで炭酸が渦を巻いて渦潮を形成し、飲み込まれるというか。さすがにブラックホールだのグレートアトラクターだのビッグクランチだの、そういう言葉は宇宙規模過ぎて言い過ぎかもしれませんがイメージとしては合っています。
瓶内二次発酵をしているかは分かりませんが、ここまで炭酸のパワーがある日本酒ができるなら、プロ野球優勝を祝したシャンパンファイトは日本酒でもできるんじゃないですかね?
――そうだそうだ。なんか前にどこかでこんなシャンパーニュのワインを飲んだような気がする。
にしたって、何だこの凝縮感。『生道井』といえば原田酒造様の近所に井戸を掘ったヤマトタケルですが、こんなのヤマトタケルの草薙剣じゃないよ!もはや山をも巻き付ける八岐大蛇だよ!
僕は八岐大蛇で、八塩折之酒を飲むかの如し。あゝたまらぬ。このざまではスサノオに殺されるしかない。
とはいえ、二日目になると炭酸も抜けてきて、膨張から凝縮に向かうダイナミクスは失いました。それでもコクのある味わいはしっかり生きていて、飲み応えも充分(代わりに若干飲みづらくなりましたが)。底にあるにごりの部分も含めると日本酒らしいクリーミーな部分も覗かせます。酢酸エチルも感じられたものの2ヶ月放置したからか穏やかになっていますしね。
欲を言うと、一日目の上澄みは最高だっただけに、二日目から違う感じになったのはちょっと残念。
最後の一杯はご覧の通り沈殿した滓により白濁とした感じに。どぶろくも同然ですね。
味わいはかなりミルキーで、やっぱりどぶろく。最後まで楽しませてくれました。
というわけで、次回より転職した関係から岐阜に住むことに。
新天地でもいろいろ日本酒を飲みに参りますかね。