「やあ、少年」
「君は誰ですか」
「僕は君だよ」
「つまりどういうことですか」
「つまり僕は君の心で、君は僕の心なんだよ」
「難しいですね」
「簡単だよ。僕には僕の世界があり、君には君の世界がある。君の世界を一本の縦線とすると、僕の世界は一本の横線。僕らは巡り合うはずが無い。だけど、きっと巡り合えるのを信じている」
「と言われましても」
「僕は君にお願いをしに来たのさ。それは、君に旅をしてほしいんだ」
「旅ですか」
「そう。僕の世界にも、君の世界にも、たくさんの国がある。そこを巡って、僕を探してほしいんだ」
「はあ」
「勝手な願いだろうね。でも、どうかお願いなんだ。僕の世界は廃れている。でも君の世界は幸せに満ちているんだ。だから、安全のハズだ。暇つぶしと思ってやってほしい。どうせ君も、暇だろう」
「・・・まあ」
「じゃあ、頼むよ・・・・・・」
大きなモトラドにまたがり、腰に小さな丸いキーホルダーをぶら下げる。
「さあ、行きましょうか」
「はいはい、退屈させんなよー」
間延びした声。
この声の発生源は、小さな丸いキーホルダー。
「大丈夫、だと思いますよ。僕が言うんですから・・・きっと」
「またその話かよー。そんな話、ありえねえってー」
「ありえない、といったら、君のようなキーホルダーが喋るのも、ありえないと思いますが」
「ぐ・・・いーんだよ、オレは」
生まれ育った国を出た。
「さー・・どこに向かうんだよー? エシュ」
「さあ・・・どこに向かうんでしょうね? ディック」
大きなモトラドにまたがり、腰に小さな丸いキーホルダーをぶら下げる。
「さあ、行こうか」
「退屈させんなよな」
爽やかな声。
この声の発生源は、小さな丸いキーホルダー。
「大丈夫、だと思うよ。僕が言いだしっぺだしね・・・きっと」
「またその話かあ。そんな話、ありえねえって」
「ありえない、といったら、君のようなキーホルダーが喋るのも、ありえないと思うけどね」
「ん・・・いーんだよ、オレはな」
生まれ育った国を出た。
「さー・・どこに向かうんだよ? エシュ」
「さあ・・・どこに向かうんだろうね? ディック」