高知県のセミマイナー滝三景 | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<白綾の滝上流の鍋の滝天辺は暗渠風>
今月は一度もブログを更新していないので、初夏から今日まで訪れた、高知県内のセミマイナー滝三ヶ所を紹介したい。三ヶ所の内、二ヶ所は高知県の滝マニアのバイブル「こうち滝100選」に収録されているものの、一般観光客が訪れるケースは少ないことから「セミマイナー」とした。

(1) 堂林の滝(越知町)
「こうち滝100選」には未収録なものの、滝が注ぎ込む仁淀川支流の坂折川が仁淀ブルーで美しいことから、ネットでは話題になっている。

滝の落差は10mほどだが、滝に到る人道橋から望むと、滝の下流の流れが滝と一体化しているように見えるので、落差も倍ほどに感じられる。

滝の天辺へは右岸(東岸)を登って行くとすぐ。

尚、駐車場はない。当方は堂林集落を過ぎた西方の路肩に駐車した。

(2)白綾の滝と鍋の滝(四万十市)
西土佐江川滝ノ下にある白綾の滝は「こうち滝100選」に収録されているが、その上流(四万十川支流)の滝ノ奥にある鍋の滝は滝名しか記載されていない。著者は探せなかったのかも知れない。
白綾の滝は市道のすぐ下に懸っているものの、落差が約20メートルで、形が良く、水量も多い。

滝壺は浅く、瀑布に近づくことはできるが、路肩に「瀧の宮」の祠が祀られていることから、滝壺に入ってはならない。この祠にはかつて鍋の滝側に祭られていた「鍋の宮」その他の祠も合祀されている。駐車は宮付近にできたと思う。

瀧の宮から川沿いを遡って行き、滝ノ奥集落最奥の民家を過ぎてほどなく行くと、川が岩に突き当たり、その上流は道路の真下の暗渠風になった箇所に設置された半円形の水管の中を流れているが、その水管の起点が鍋の滝の天辺である(下の写真の左上)。

そこから一段目の滝が落下しているが、その落差は1メートル少々ほど。一段目の滝壺も雀の涙ほどで、滝は急カーブを描き、二段目の滝となり、落下している。一段目と二段目を合わせても落差は5メートルほどしかない。

滝の天辺が暗渠風になっているのも珍しいが、この滝壺(浅い渕)と西土佐江川立川の君ヶ渕(四万十川)とは繋がっていて、大蛇が行き来していたという。
鍋の滝のやや手前の道路東上に鍋の宮跡があるため、こちらも滝壺に入ってはならない。車は住民に断り、最奥の民家の南側に駐車した。

(3)不動の滝(四万十市)
この滝も「こうち滝100選」に収録されているが、その本発行時は、滝の入口前を走る林道は全線開通していなかった。それ故、現在、高知市方面から訪れるなら、道の駅四万十大正から一の又渓谷温泉方面を経由して南下した方が近い。

この滝は人里離れた山奥にあるにも拘わらず、滝前には休憩所やトイレまで設置されている。また、7月末でもまだ紫陽花が咲いているため、滝と紫陽花を一緒に撮影することができる。

落差は十数メートルほどだと思うが、滝が懸かる岩盤の雰囲気から、前述の滝同様、もっと落差があるように感じる。
滝壺は浅いが、ここでは昔、石鎚信仰の山伏が修行していたことが想像されるため、やはり滝壺に入るべきではない。

休憩所の裏から石鎚神社への参拝道が続いており、神社下から滝の天辺に行けるようになっているが、ルートは獣道程度。
ロッククライミングや沢登り熟達者なら、滝の右岸(西岸)の土に埋もれた鎖を直登して滝の天辺に上がることができる。

この滝も駐車場がないが、滝入口から少し南下した所の西側路肩には一台駐車できるスペースがある。
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