片上鉄道遺物を使用したどらねこ鉄道廃線跡(土佐清水市) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

私設のミニ鉄道は全国に数あれど、廃線となった地方鉄道の信号機や信号集中制御装置等を譲り受け、尾根を削平して路盤を造成し、更に森林鉄道のように、尾根を掘り割って切通しまで造る本格的ミニ鉄道は少ない。

 

その偉業を成し遂げたのが四国最南端のまち、土佐清水市のしみず幼稚園。市内の農協から譲り受けたコンバインを改造して機関車を造り、客車は産業能率大学が鉄道の実験用に製作した二両を園児用に改造した。

 

信号機、レール、枕木、駅名板(清水駅)等は平成3年に廃線になった岡山県の片上鉄道のものを使用し、浦尻の山伏谷山の弧を描く尾根直下を削平して敷設、そして平成6327日、「どらねこ鉄道」第一期工事分の200m区間の開通式を行った。

 

当時の記事では年内にあと200m延伸させる旨、記されてあったが、園内(こどもの国)の看板に記載されている四つの駅の内、三駅しか造られておらず、ホームがあるのは一駅のみ。これは平成6年中に三駅を造り、更に平成7年以降の第三期工事でもう一駅分、延伸させる予定だったのかも知れない。

 

特筆すべき尾根の深い切通しはそのホームがある駅の背後にあるが、そこから四つ目の駅の予定地までは未成線に終わっており、路盤のみ造成されている。

 

この鉄道はこどもの国園内にあるが、園にはブランコや手動ロープウェイ、展望台、山小屋、文学館、鳥小屋等もあった。しかしいつの頃か廃園・廃線となり、各施設は廃墟と化している。

 

廃線跡もヤブに覆われているものの、何とか歩くことはできる。未成線区間のヤブは皆無で普通に歩けるが距離は短く、数分もかからない。

展望台自体は朽ちて上れないが、そこに到る道からは好展望が広がり、市街地から太平洋も遠望できる。

 

[アプローチと探訪コース]

こどもの国へ到る道路の入口は、しみず幼稚園のあるグリーンハイツ(団地名且つ、字名)の県道347号側入口の南西にある。アート工房の南向いに池があるが、その池の西沿いを南下する狭い道路がそれ。こどもの国に到るまでの分岐には手製の道標も設置されている。

 

最後の道標の先の林道終点が恐らく、園利用者の駐車場に充てられていたものと思われるが、道標の建つ分岐からそこまでは未舗装の悪路になっており、車高の低い車は通れないだろう。だから県道沿いのどこか適当な路肩に駐車するしかないだろう。県道からその分岐までは700mほど。

 

分岐からは通称「桜坂」を上がる。

園の入口には何メートルもある石造の十三重塔や道祖神像が建立されている。

坂を上り切った所の広場には手動ロープウェイや片上鉄道の清水駅の駅名板がある。

 

進行方向の道を上がれば、真ん中の駅、「うさぎの駅」に出るが、廃線跡を最初から辿るには、広場から右後方に折り返す道を上がり、尾根直下を進む。

その先にあるのが切通し前にある「きつね谷駅」で、客車が一両連結された機関車がある。

 

切通しを迂回して未成線起点に出る小径もある。未成線路盤終点には「小鳥の森駅」予定地があり、雨水や地下水が溜まって細長い池のようになっている。

 

うさぎの駅には客車と信号機が残っている。

「たぬき山駅」で線路は終わり、尾根道に出るが、線路の路盤は特に広くなっている訳ではない。

 

尾根道を上がって途中から直下の道へ入れば、終点に上れない展望台がある。

たぬき山駅の下には園長の山小屋、更に下って行けば文学館、宿泊用山小屋等があり、林道に出て右折した先にはグランドともう一つの展望の悪い展望台がある。

林道を逆方向に進めば、広場下方の桜坂に出る。

 

この日、土佐清水市内の森で超古代の列石のようなものを発見したが、機会があればまた投稿したい。

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