愛媛県最大の石灰鍾乳洞「小屋の羅漢穴」は、四国カルストの人気観光スポット、大野ヶ原の数キロ西方にあるため、照明設備はなくとも、休日には家族連れやカップルも訪れる。
洞の全長は388mだが、ケイビング熟達者のみが入れる支洞も含めると550mに達する。
また、標高720m地点に位置しているため、通常の洞窟より気温が低く、夏場でもヤッケやウィンド・ブレーカーがないと寒い。
一般観光客は、四国カルストを散策及びハイキング後、そのカルストの尾根上 を走る県道383号を西進して県道36号に出て、羅漢穴に行っているものと思うが、羅漢穴のみを目当てに行く場合、道幅が広い道路、つまりドライブし易いルート としては、国道197号で高知・愛媛県境の高研トンネルの西方(鬼北町)まで行き、そこから大規模林道・東津野・城川線(高知県側の入口は現在通行止)を北上、龍馬の脱藩峠「韮ケ峠」まで行き、そこから県道36号に下るルートがお勧め。
因みに私は仁淀川町に用事があったため、国道33号から国道440号を経由し、県道36号に入った。このルートでは幅員が狭い36号を走る距離が長くなるため、お勧めできない。
韮ケ峠から700mほど北上し、ヘアピンカーブの三差路を前方左に入る。左ヘアピンカーブを過ぎて数百メートル西進すると、右に折り返す矢印表示の羅漢穴道標があるが、その右に下りる道路は更に幅員が狭く、車の退避所 もないため、県 道をもう少し進んだ所にある道標から歩道を下った方が良い。
洞穴入口には案内図板が設置されている。入口から少し先までは天井が低く、背をかがめないと進めないが、ほどなく広い通路に出て、天井も高くなる。ここは帰路、少々迷う場合が多いが、焦るほどではない。
入口より約120メートル、正面の壁面に張り付いた石柱があるが、ここで洞は左右に分かれる。まずは「右洞」を往復されたい。氷柱石や石筍はあまりないものの、兎に角洞が大きいため、それなりの迫力がある。壁面には、くじらのように長く伸びた生成物もある。
地面に開く直径数センチから10セ ンチ未満の穴は、天井からの水滴によって抉られた痕である。
壁面に浮き出た毛細血管のような模様 は、石灰成分と泥からできる二次生成物で、「バーミキュレーション」という。
写真ではその規模が分かり辛いが、涸れ沢のV字峡のように通路が狭く、両壁面が切り立った箇所もある(「左洞」だったかも)。
分岐から80mで風穴という箇所に達し、最奥部は落盤と土砂で行き止まりになっている。
分岐点まで引き返すと「左洞」を進む。地面は泥状態で、ぬちゃぬちゃと気持ち 悪い。所々グアノ(堆積したコウモリの糞)も見られる。しかしこの「左洞」に最大 の見所がある。通路の左寄りにある「大石柱」という、天井から地面まで達した石柱で、高さは2メートル半位ある。
洞はほどなく右急カーブ後、再び直進し、一の池、二の池、三の池という風にプールが連続するようだが、地面の泥の状態がひどく、最奥地点まで行く気にならなかった。
帰路、入口近くまで戻ると、洞内に大量に水が流れ込む音がする。激しい雷雨になっていたのである。しばらく入口付 近で小雨になるのを待っていたが、背後からの冷気が強く、風邪をひきそうになったため、仕方なく雨の中、車まで戻った。
GW以降、洞穴探訪は殆ど行っていなか ったが、やはり夏場は気持ちいい。また、この羅漢穴のように、ある程度整備された洞穴以外は、ネットで公開されているケースが極めて少ないことから、洞穴探訪の再開を考えている。
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