≪洞内にこだまする亡者の悲鳴とうめき声≫
先月、祖谷の廃業した洞窟の地獄巡りを紹介したが、今回は営業中のものを紹介する。但し、地下の素掘り施設と言っても、出口と入口が建物にあるため、地下に掘られた施設であるとはすぐ認識できないかも知れない。しかし中に入るとひんやりとしており、今の時 期は気持ちがいい。
今回の施設は徳島県牟岐町にある正観寺(TEL08847-2-0300)。昭和24年に創建された奈良・東大寺の末寺で、寺のリーフレットによると、「スリランカ仏歯寺より分骨された釈迦の仏舎利を祭る日本一寺」であるという。
「日本一」は伊達ではなく、兎に角境 内の各伽藍はどれも大きく、重厚な造りになっている。本殿は東大寺に造りが似ているが、法隆寺の八角堂に似た堂宇もある。四国一の大きさを誇る四国霊場・薬王寺の瑜祇塔に引けを取らない塔もある。
また、展望所のようになっている鐘楼や滝行場、橋で池上の堂宇(水子地蔵を祭る)に渡る箇所もあり、観光寺院の佇まいを見せている。
肝心の「八大地獄巡り」入口受付には常時係員がいる訳ではないので、寺の事務所で見学の旨を伝える。料金は400円だったと思う。但し、近年、写真撮影が禁止とな った。恐らく「模倣産業スパイ」を警戒しての措置だろう。高知県郡部の某博物館でも以前被害を受けて以降、撮影が禁止されている。
拝観料を払って中に入ると、等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、吸喚地獄、大吸喚地獄、焦熱地獄、大焦熱地獄、阿鼻地獄と各シーンが展開するが、赤いライトの下、全自動で人形が動く。亡者の腹を鋸で切り続ける鬼、鍬や槍のよう なもので突き刺す鬼等々、洞内には絶えず亡者たちのうめき声がこだましており、小さな子供にとっては、お化け屋敷さながらである。
閻魔王は入口にもいるが、順路後半に現れる十王(10人の審王)の中心で睨みを効かす閻魔王の形相が迫力ある。閻魔王の上の背面には地蔵の絵があるが、本地垂迹説では、閻魔王の本地仏が地蔵菩薩となっている。十王それぞれに本地仏がある。
八つの地獄を抜け出た所が「天国」の部屋なのだが、祖谷のお山洞窟のようなエロはなく、ただ単に観音と丸椅子のような蓮があるだけ。天国の表現に物足りなさは感じるが、各地獄の表現は素晴らしい。亡者が奈落に落ちるシーンや、巨大動物に襲われるシーン等、よく表現されている。
出口から外に出ると、眼鏡が一気に曇ることから、八大地獄が地下に素掘りで掘られ た施設であることが実感できる。
三ヶ所の四国霊場の地下霊場については去年か一昨年、投稿しているが、やはりその何倍も地下の地獄巡りは見応えがある。
あと、私の知る限りでは四国に最も近い地下地獄巡り施設は広島県にある。今月のお盆にも泊りがけで出かけたいと思うが、周辺の宿泊施設が少ないため、もう予約が取れないかも知れない。
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