GDP 大幅マイナス予測 消費税率引き上げで 民間調査会社』(2/3 NHK)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200203/k10012269991000.html

「今月17日に発表される去年10月から12月までのGDP=国内総生産について、民間の調査会社の間では消費税率の引き上げで個人消費が落ち込み、大幅なマイナスに転落するという予測が多くなっています。(略)

これが1年間続いた場合の年率に換算するとマイナス3.5%からマイナス4.4%となり、10社すべてがGDPが5期ぶりにマイナスに転落すると予測しました。

その理由として各社は、去年10月に消費税率が10%に引き上げられたあと家電製品や自動車などの販売が減少したことに加え台風や暖冬の影響もあって、GDPの半分以上を占める個人消費が落ち込んだことを挙げています。(略)」

 

この記事を書いているのは2/6、記事をアップするのは2/17の予定であり、昨年第三四半期のGDPの速報値が出ているだろうが、台風とか暖冬の影響云々はほとんど無関係として、個人消費の落ち込みという結果そのものは間違いないだろう。

 

結果を報じる日経や朝日辺りは、例の如く「台風が~、暖冬が~、小雪が~、新型コロナが~」と見苦しい言い訳を並べ、“経済不振はあくまで特殊要因による一過性の現象”だと言い張るだろうが、国民はそんな大嘘を真に受けてはならぬ。

 

災害列島に暮らす日本人は、過去に幾度となく自然災害に猛攻に晒されてきたが、それが経済の足枷になったことなどない。

昭和初期や中期にも、多数の台風や豪雨、豪雪の襲来を受けたものの、そんなものを軽く跳ね返す勢いで経済成長してきたではないか?

【参照先】

https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/index_1945.html

 

「消費の不振は所得の不振」、ただそれだけのことだ。

 

通常、消費とか経済なんてものは伸びていくのが当たり前で、対前年比プラスが“正常値”であり、イーブンペースは病気、マイナスは重症と認識すべきなんだが、すっかり不況慣れしたのか、最近の日本人はイーブンペースが正常値だと勘違いしている。

 

今回のマイナス予想の主因は、昨年の消費増税で間違いないが、平成9年以降(一時を除き)延々と続けられた増税緊縮路線により腐りきった国内需要や国民所得の延長線上で起きた悲劇であることを忘れてはならない。

 

いまや国民の財布はすっからかんでカネがない。

働き盛りで子供の教育代や家のローンが重く圧し掛かり、人生で最もカネのかかる40歳代男性の平均年収の推移をみると、

H9/695万円(40歳代後半)→H25/638万円(▲8%)

H9/645万円(40歳代)→H25/568万円(▲12%)

という惨状だ。

 

普通に年率3%くらいで経済成長していたら、695万円の年収16年後のH25には1,100万円を超えている(いまなら1,300万円超‼)はずなのに、実際手にするのはたったの638万円で成長プランとの差異は460万円を超える。

しかも、十数年間の累積値で考えると、逸失した所得は3,500~4,000万円にも及び、家一軒分丸々損したといってよい。

【参照先】

https://nensyu-labo.com/nendai_40.htm

 

さらに、租税負担(国税・地方税)と社会保障負担(年金・医療・介護・健康保険など)の合計額の割合を示した国民負担率は、高度成長期には20%中盤~後半、バブル期には37%前後だったのに、いまや42%を超えている。

【参照先】

https://www.mof.go.jp/budget/topics/futanritsu/sy3102a.pdf

 

肝心の所得が当初見込みに比べて上下倍近く減ったうえに、税負担や社保負担だけが右肩上がりで重くなったのだから、消費が増えるわけがない。

 

消費マインドを左右するのは現実と将来の所得であり、それを目に見えるように増やし、国民の所得対する不満や不安を取り除いてやらぬ限り、消費に対する国民の自信や興味は回復しない。

 

「消費は贅沢」と言い放つ増税緊縮派の守銭奴ども

「消費は地球環境に負荷を与える罪悪」と妄想する経済左派のバカども

「実質金利が下がれば消費は自ずと増える」と嘯くリフレ派のポンコツども

 

経済論壇には、経済の仕組みや消費に無理解・無関心な連中が蠢いている。

ポンコツ論者どもは所得低迷内需不振を甘く見て、「我慢が足りない! 改革が足りない! 金融緩和が足りない!」と叫、我が国をさらなる長期不況へ突き落そうとしている。

 

ポンコツどもの志は薄汚れていても、その声量たるや想像をはるかに超える大きさだ。

積極財政派としても、彼らに負けぬほど大きな声量で対抗せねばならず、攻撃力に厚みをつける意味でも、積極財政論を構成する政策オプションを増やし、理論の軸を強靭化する必要がある

 

「公共事業費増加も善し、防衛費増加も善し、科学技術振興費増加も善し、地方交付税交付金増加も善し、就職氷河期世代の正規公務員登用も善し、社保料負担や医療費負担軽減も善し、生活向上のための給付金も善し、消費税廃止も善し、自然災害被災者向けの生活再建給付金の支給も善し、難病治療費の全額国庫負担も善し…etc

 

「積極財政論は俺たちの生活を良くするために何をやってくれるんだ?」

という国民の疑問を解消し、

国債は次世代へのツケ回しとか、財政赤字で破綻するなんて大嘘だったんだ!

不況脱却には、積極財政論が必要じゃないの?

と期待を抱かせるためにも、様々な政策メニューやオプションを用意するに越したことはない。

 

“アレはダメ、これは気に”とくだらぬ感情論や好き嫌い論全開で政策選択論に固執するようでは、いつまで経っても増税緊縮派の牙城を崩すことはできない。

 

給付金やベーシックインカムを政策オプションに加えただけで、「ベーシックインカムばかりゴリ押しする新自由主義者」云々と的外れなレッテル貼り激昂するアホもいるが、いますぐ顔を洗って現実を直視してこい!”と叱り飛ばしておく。

 

筆者は

「積極財政論の政策オプション(=武器)はできるだけ多く持て!」

「給付金やベーシックインカムだけオプションから外すような愚論は止めておけ

と、極めて穏当な常識論を唱えているだけだが、“給”とか“ベ”という文字を見ただけで「生理的にムリ(# ゚Д゚)」と拒絶反応を起こすおぼっちゃんがいるから困る。

 

“ベーシックインカムの出自は新自由主義だから、ベーシックインカムは穢れている”とか言う呆れたネオリベ転向生もいるが、それなら、増税緊縮派が財政政策を支持すると財政政策も穢れるとでもいうのか?

 

いまや、頑迷な増税緊縮派の池田信夫ですら、

黒田総裁の否定する財政ファイナンスだが、それ自体は問題ではない(法的にも禁じられていない)」

かつてのポリシーミックスでは、緊縮財政と金融緩和の組み合わせが望ましいとされたが、ここではマイナス金利が続く限り積極財政と金融緩和を組み合わせる。これは今までの常識ではかなり危険な「非伝統的な財政政策」だが、流動性の罠を脱却するまでの短期の政策としてはありうる

と、財政政策を受け容れる姿勢を示すご時世だ。

 

転向生の言に従うと、「池田氏が支持するような財政政策は穢れている。積極財政はネオリベ教の麻薬だ」ということになるんだろうが、そんな虚言が通用するはずもない。

 

出自がどうとか、ネオリベ野郎発案の政策云々なんてどうでもよい。

積極財政論の補強に役立つよう、都合よく改変すればよいだけの話だろう。

 

要は、やる気があるかないかだけの話に過ぎない。