日本テレビが10月に行った定例世論調査によると、「政府や自治体は、ダムや堤防などの整備に今よりも力を入れるべきだと思います、そうは思いませんかとの設問に対して、「力を入れるべきだ」が85%に達し、「そうは思わない」の9%を圧倒する結果となった。

https://www.ntv.co.jp/yoron/

 

これまで我が国で公共事業政治家と土建屋の利権という妄想が罷り通り、公的インフラ投資蔑むのを美徳とする風潮もあったため、この結果にはとても驚かされた。

 

台風15号、台風19号と二つの災害が立て続けに関東地方や東北・甲信地方を襲来し甚大な被害をもたらしたが、幸いにも、八ッ場ダムや首都圏外郭放水路のおかげで首都圏や利根川・荒川下流域壊滅的な被害を受けずに済んだ(数百人・数千人単位の死者が出るリスクを未然に防いだ)という事実、珍しく、マスコミ報じたこと大きく影響したのだろう。

 

毎年のように襲い掛かってくる自然災害を前に、避難訓練やハザードマップの整備、防災教育といったソフト支援だけでは、人命を護ることなど到底不可能という厳しい現実に、国民もようやく気づき始めたのか。

 

本来なら、遅くとも平成26年8月の広島豪雨や九州北部豪雨、西日本豪雨が起きた際に、ハード整備の重要性を悟り、意識改革すべきだったが、いまからでも遅くはない。

「口先や声掛けだけでは防災も減災も絶対に不可能」という常識を、国民や住民も共有してほしい。

 

公共事業を毛嫌いするド素人中には、先の大水害の減災・防災に大きな役割を果たした八ッ場ダムに対して、“利根川の水位をたかが10cm下げただけ”と批判する大バカ者もいたようだ。

 

いわゆる“緑のダム”(森林や土壌の保水能力にダムとしての能力を期待すること)を信奉する論者八ッ場ダムを指して「あの程度の貯水量では、河川の水位を数センチ引き下げる程度の効果しか望めない」などと能天気な意見を吐いている

 

しかし、今回のように猛烈な台風の連続攻撃を受けた日には、大地や森林は吸収した土壌水分を蒸散させる間がなく、土壌が乾燥できぬまま次の降雨に晒されるから、その保水力も期待はできない。

 

現に、台風15号→19号→21号と立て続けに台風が来襲した千葉県では、森林や土壌の保水力がほぼゼロの状態となり、災害警戒区域外で大きな土砂崩れが発生し、貴重な人命が失われてしまったではないか?

【参照先】

https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20191029-00148789/

 

現実を知らぬ自然信奉系のバカ論者はダムの保水力や治水力を“河川の水位をたった数センチ下げる程度”と甘く見たがるが、水害の専門家に言わせれば、河川からわずか2~3cm越水しただけで、越水破堤現象(溢れた川の水により堤防の外部が浸食され堤防全体が壊れること)が起きるため、八ッ場ダムが河川の水位を10cmも引き下げたのは大殊勲に値するそうだ。

 

要は、越水など一ミリも起こしてはならないというのが正解であり、いまだにミリ単位ではなく、センチ単位のガバガバな議論に終始している素人は、八ッ場ダムの「たかが数センチの保水力」が、数百人、数千人の生命と、数十万人、数百万人の財産を護ったことを改めて認識し、ダムの存在に感謝すべきだろう

 

こうした事実や現実を顧みず、いまだに、公共事業は利権の塊だの、日本の公共事業費は減らすべきだのと人非人にも等しい暴言や時代遅れも甚だしい妄言を吐く輩が後を絶たない。

 

さて、一連の大水害の被災者の中には、東日本大震災で家族や家屋を失った方々もいたという。

多くの国民が一生涯で一度たりとも遭遇することのない大災害、わずか10年にも満たぬ間に何度も経験させられる被災者の悲運や苦しみはいかばかりか、と同情を禁じ得ない。

 

こうした不幸な人々を眼前にしながら、相変わらず、公共事業縮小論やインフラ不要論を唱える犬畜生が後を絶たない。

 

彼らの論法はいつもワンパターンで、

日本は利権まみれの土建国家だ

・災害に乗じて公共事業を増やそうと利権団体が跋扈している

・日本の公共事業費は爆増している

・公共事業のせいで消費税は上がるばかり

とアホな戯言を吐き散らしている。

 

「公共事業費は減っていない、国土交通省以外の省庁予算に隠れているインフラ予算を足せば、実質的な公共事業費は爆増しているぞと顔を真っ赤にして訴える間抜けもいるが、それなら、実質的な公共事業費とやらについて、ここ30年程の予算額推移を数字で示してもらいたい。

 

実質的公共事業費が爆増しているのに、それを請け負う建設事業者数が、平成11年の60万者から平成29年に46万者へ23%も激減してしまったのはなぜか

事実ピーク時と比較した事業者の減少率を都道府県別にみると、秋田県△32.8%、群馬県△32.8%、和歌山県△32.5%、山口県△31.3%、宮崎県△32.6%と、30%以上の大激減に見舞われた県も目立つ。

 

公共事業費が増え続けているなどという妄言をほざくバカには、増えた(という架空の)予算を誰が受注したのか、きちんと明示してみろ、と言っておく。

 

また、“土建=利権”と結び付けたがる時代遅れのアホは、公共事業費を狙って利権屋が跋扈しているという妄想に囚われているが、建設業の営業利益率は、平成3年ころに24%を超えていたが、その後の事業費削減により、平成20年ころには14%を割り込むまでに落ち込んでいる。(その後は震災による人手不足などの影響もあり増加傾向にあるも、業界全体の事業者数縮小傾向に歯止めはかかっていない)

 

公共事業費が増えていたなら、利権を漁る土建屋の懐はさぞ潤っていたはずだから、利益率が20年近くも右肩下がりになっていたのはおかしいではないか?

【参照先】

https://www.mlit.go.jp/common/001233709.pdf

https://www.mlit.go.jp/common/001117243.pdf

 

公共事業嫌悪論を唱えるバカは、“公共事業費が消費増税を誘発する”と訴えるそれと同じ口で、“消費税は世代間格差是正につながる”とか、“消費増税により若者世代向けの福祉財源が生まれる”といった論調で消費増税を賛美する矛盾だらけの低能児ぶりを露呈している

 

公共事業嫌悪論を吐きたいがために論理不整合の妄言を吐くバカどもは、「お前は、消費増税に賛成なのか、反対なのか、はっきりしろ(# ゚Д゚)」と叱り飛ばしておけば十分だろう。