また、マスコミの小泉礼賛が始まった。


 東京からロシアに舞台を変えつつ、郵政民営化路線の見直しや定額給付金を強行しようとする麻生政権を批判する小泉氏を“小泉アンコール劇場”、“小泉の乱”などと持ち上げて騒ぎ立てている。


 2月16日に出された平成20年10-12月期のGDP速報値が、年率▲12.7%という衝撃的な現状を省みようともせず、マスコミの相変わらずの政局好きの姿勢には呆れるばかりだ。


 


 経済がメルトダウンする危機が具体化している現状を考えると、今すぐにやるべきことは、大規模かつ長期にわたる財政出動により、雇用や収入に対する安心感を家計や企業に与えることだろう。


 郵政民営化なんかは、はっきり言って、殆どプラス効果など期待できない政策で、職員から公務員(公社)という安心感を奪い、利用者たる国民からは安価で全国津々浦々にまで行き届いた利便性を奪うなど明らかにデメリットばかりの失敗作だ。今後、融資業務の拡大を図るなどということになれば、新銀行東京の二の舞になることは目に見えている。


 なのに、郵政民営化を否定されたことにプライドを傷つけられたパフォーマンス議員の文句を必要以上に煽り立てるとは何事か。調子に乗った取り巻きのチルドレン議員達が、これを機会に会合を開き、政権批判を行なって気勢を上げている。特に、山本議員や塩崎議員など、さんざん構造改革だと叫んできたのに、先ごろ話題なった政府紙幣の発行に興味を示して宗旨替えでもしたかと思えば、マスコミが小泉氏を持ち上げ始めると直ぐにこれに同調して、何とかTVに映ろうと必死の様子だ。だいたい、国会議員という、いわば地位を極めたいい大人が、○○チルドレンなどと呼ばれていい気になっているが、自民党の議員のレベルも落ちたものである。


 そもそも、かのパフォーマンス議員は何の用があってロシアに行っていたのか。次回選挙に出馬せず、ブラブラしている息子に議員を世襲することを明言しているロートル議員が、高い税金を使ってロシアにまで何をしに行ったのかと思えば、「今の自民党の議席がどういう過程で得られたか理解していないのではないかと危惧(きぐ)している」などと勘違いしたことを言っている。


 しかし、彼の自慢する衆議院選挙は、もう3年以上も前の話であり、当時マスコミの大宣伝によって騙された多くの愚か者も、昨今の急激な景気悪化(本当はバブル崩壊以降ずっと景気は悪化しているが…)によってようやく目を覚ましたのか、パフォーマンス氏が首相だった頃に推し進めた新自由主義路線が否定されていることに何の反省もないようだ。前回の衆議院選挙後に行われた参議院選挙で自民党が大負けしたことを忘れていないか。


 これは、第二次世界大戦で完膚なきまでに叩きのめされたことをすっかり忘れた振りをして、日清戦争や日露戦争で勝ったことを恩着せがましく自慢しているのと同じことだ。