大河ドラマ『光る君へ』第15回が放送されました。
※ちょっと仕事が忙しくなってきたので、個人的に大きな動きがあった回を除き、家系図と官職のまとめは割愛します。
前回の14回から関白道隆の全盛期に突入し、その横暴ぶりが目立っています。
強引に定子を中宮の地位に就けたのがその最たるものです。
が、それはさておき、今回の大きな出来事としては、何と言っても清少納言の誕生です。
清少納言は離婚したと言っていましたが、夫は橘則光という人です。
離婚はしても『枕草子』のなかに登場しており、ある程度の付き合いは続いていたようです。
そして初めて中宮定子の前に出仕した時の様子が描かれましたが、胸熱でしたね。
定子の美しさに感激して言葉を失うシーン。
これは『枕草子』に出てきますが、ちょっと演出が異なりました。
見知らぬ里人心地には、かかる人こそは世におはしましけれと、おどろかるるまでぞ、まもりまゐらする。
宮廷世界などこれまで知るよしもなかった私には、この世にこんな方がいらっしゃったとは、とただ驚くばかりで、うっとり見つめ申し上げずにはいられなかったの。
これは「宮にはじめて参りたるころ」という章段ですが、この章段では夜の出来事として描かれています。
その他、この章段とは少し違うところもあるのですが、たぶんこの一節をもとに作ったシーンだろうと思いました。
また、伊周と道長が弓を競うシーンは『大鏡』に出てきます。
が、『大鏡』だと、道長がもっと嫌なやつに描かれ、道隆も途中で勝負を中止させたりはしません。
また、ちょっと残念だったのは道隆の強引さが目立っていて、人柄の良さが薄れているところでしょうか。
『大鏡』には、道兼ごときの長男である福足君と道隆のエピソードが描かれています。
道兼は、父・兼家の祝いの席で福足君に舞を舞わせる演出を考案しました。
福足君はわがままで言うことを聞かず、舞の練習をさせるのにも一苦労。
で、なんとか本番の日を迎えたのですが、本番の舞台の上にあがるやいなや「僕は舞わない!!」とギャン泣きして、セットした髪の毛をかき乱し、服を破いて地団駄を踏む暴れっぷり。
父の道兼ごときは顔面蒼白、どうしてよいか分からず途方に暮れていました。
そんな中、道隆が桟敷をおり、舞台にあがると、福足君の手を取って一緒に舞を舞ったのでした。
道兼と福足の恥も隠れ、兼家もたいへん満足そうでした。
と記されています。
福足君はその後しばらくして死んでしまします。
ドラマでは福足はいちども登場しないまま過ぎ去ってしまいました。
上の話は、道隆のおおらかさ・人柄の良さを伝える良いエピソードだったのですが、道長を引き立てたいようなので、道隆の良い奴エピソードは削られる運命なのでしょう。
おそらく、酒飲みで豪快な人物だった、という『枕草子』中のエピソードはこの後も少し出てくるはず。
道隆はあと2年で死んでしまうので、そこをどれくらい描くか、注目したいです。
次回予告では「香炉峰の雪」のエピソードが映りました。
ほかに何が出てくるのか楽しみです。
あと、このドラマでは清少納言と紫式部が対立していないのが良いですね。
道隆の死後、道長が定子に悪質な嫌がらせをするのですが、そこがどう描かれるか。
これも注目ポイントです。