http://www.sankei.com/premium/news/150226/prm1502260003-n1.html

【経済インサイド】
「造船大国・日本」復活恐れる韓国 
台湾から世界最大級コンテナ船受注に焦燥
「韓国造船業の牙城崩れる」  


2015.2.26 06:00 産経新聞



今治造船広島工場で建造されている約1万
4000個積みの大型コンテナ船。来年には
さらに大きい2万個積みがつくれる超巨大
ドックを新設する





 日本の造船業が復活に向けて動き始めた。

 1月末、国内造船大手の今治造船が16年
ぶりに超大型ドックの新設を発表。

 さらに1月の船舶受注量で日本が韓国と中国を
抜き1位に返り咲いた。

 日本が月間ベースの受注量で1位になったのは
2008年3月以来6年10カ月ぶりのことだ。

「アベノミクス」による円安や造船各社の構造
改革によって、受注・コスト競争力が高まり、
ここにきて息を吹き返しつつある格好だ。

 これに警戒しているのが、日本に代わり造船
大国になった韓国勢。韓国経済新聞によると、
韓国の業界関係者は
「円安と技術力、安倍晋三政権の支援を背に、
日本企業が中国よりも速いスピードで韓国を追撃
している」と述べ、高い技術を誇る日本勢の復活
に戦々恐々としている。




■16年ぶりの超大型ドック新設

 今年1月29日、国内外の造船関係者は驚きの
声を上げた。

 今治造船が台湾の海運会社から世界最大級と
なる約2万個積みの超大型コンテナ船11隻を
受注したと発表。

 さらに驚かせたのが、この全長約400メートル、
幅約59メートルという超大型コンテナ船を建造す
るため、長さ約600メートル、幅80メートルの
大型新造船建造ドック(香川県丸亀市)の新設を決
めたからだ。

 新ドッグは月内にも着工し、2016年10月の
完成を目指す。

 同社にとっては、新設するドックは2000年に
完成した西条工場(愛媛県西条市)以来。

 投資額は約400億円を予定している。

 同社の関係者は
「超大型船の商談など世界中からの多様なニーズに
柔軟に対応できる生産体制が構築できる。国際競争
力に磨きをかけ、顧客の期待に応える船造りを目指
す」と意欲満々だ。

 この新ドッグ建設に敏感に反応したのが、韓国の
造船メーカーだ。特に今治が2万個積みを超える
超大型コンテナ船を受注していることに相当の脅威
を感じているようだ。

 韓国経済新聞によると、これまでウルトラマック
ス級と呼ばれる約1万8000個積み以上の超大型
コンテナ船市場は、現代重工業、サムスン重工業、
大宇造船海洋などが事実上独占してきた。

 しかし、そこに今治造船が割って入ることになる。

 韓国経済新聞は、韓国の業界関係者のコメントと
して
「日本が2万個積みを建造すれば、韓国造船業の牙
城が揺れる」と紹介している。

 中国勢も大型のコンテナ船の建造を多く手がけて
おり、日本の動きを注視しているようだ。




■6年10カ月ぶりの「首位返り咲き」

 中央日報電子版は、グローバル造船海運市況分析
機関である英クラークソンのまとめとして、
1月の世界に占める船舶受注シェアは日本が45.
9%、韓国30.9%、中国17.6%だったと報
じている。

 6年10カ月ぶりに日本が1位になったのは、
今治の2万個積みの超大型コンテナ船の大量受注が
成長の一因として作用したとした。

 そもそも1980年代は日本が世界の造船市場で
トップランナーを走っていた。

 だが、安値受注などで中韓勢が猛烈に追い上げ、
追い越した。

 ただ、熾烈(しれつ)な競争を繰り広げる中、
中国や韓国の新興メーカーは生産規模を大幅に拡大


 この結果、造船市場は需要をはるかに上回る供給
過剰になり、造船会社の採算は悪化した。

 そんな中、日本の造船メーカーが息を吹き返しつ
つあるのは、「アベノミクス」による円安で受注
競争力が回復したことと、さらに数年にわたる構造
調整、いわゆる統廃合でコスト競争力を高めたこと
が大きい。

 もちろん品質が高く、納期をしっかり守るといっ
た日本企業の優れた面が支持されていることもある





■統廃合で競争力強化

 統廃合の動きとしては2013年に、今治造船と
三菱重工業がLNG船舶部門を切り離し、LNG船
を専門に製造する「MILNGカンパニー」を設立


 同年には、アイ・エイチ・アイマリンユナイテッ
ドとユニバーサル造船が合併し、世界4位となる
ジャパンマリンユナイテッド(JMU)が誕生した


 さらに、昨年10月には、名村造船所が佐世保
重工業を子会社化し、国内ではJMUに次ぐ規模に
なった。

 三菱重工業は、戦艦「武蔵」を建造した長崎造船
所で手掛ける造船事業を、今年10月1日付で分社
すると発表。

 LNG船などを建造する全額出資会社と、船の
部品となる船体ブロックを製造する事業会社を設立
することを決めた。

 こうした再編やコスト改善に向けた改革に加え、
「円安で15%は(日本船の)船価が下がった」
(市場関係者)ことも加わり、急速に競争力を高め
ている格好だ。

 このため、とくに液化天然ガス(LNG)船や
超大型コンテナ船など高付加価値分野で日本と直接
競合することになる韓国勢は焦りを隠せないでいる
わけだ。

 これまで、海外勢に差をつけられてきた日本勢だ
が、今治造船の大型ドッグ建設を機に、他の国内
メーカーも追随するような動きが出てくれば、
いよいよ韓国勢には脅威となる。

 中央日報電子版によると、サムスン重工の関係者

「日本の造船業の最も大きな弱点は中小型の造船所
が多く、今まで建造した船舶の最大サイズが
(コンテナ船の場合)1万4000個積みだった」
とした上で
「超大型ドックの建設で2万個積の建造までが可能
になれば、いつでも韓国に追いつく可能性がある」
と、かつての「造船大国日本」の復活に神経をとが
らせている。





良い傾向ですね。

海洋国家である日本の造船技術は、中韓を凌駕して
ます。

それだけに、コストが、見合う様になれば、受注は
集中する事でしょう。

故障は、少ない方が、運用する側には、有難い事で
すから、品質は、重要ですものね。

安くても、その後のメンテにお金が掛かる様ではね


その事も込みで、日本を選ぶ傾向が強まる様に思え
ますね。

日本の造船業、復活して欲しいものです。