http://www.sankei.com/west/news/150216/wst1502160004-n1.html

【経済裏読み】
習近平「反腐敗」3年、正体見たり! 
国外の違法は放置プレー 
〝清潔度ランク下降の当然至極〟


2015.2.16 11:00 産経新聞



新年のあいさつを発表する中国の習近平
国家主席。反腐敗運動は3年目に突入した
北京
(新華社=共同)



 中国の習近平国家主席が主導する反腐敗運動が
3年目に入った。綱紀粛正の手は、党幹部や官僚
ら政府関係者だけでなく、大企業のトップにも及
んでいる。

 一方で、国境をまたいで横行する中国人の集団
による違法行為には無頓着なまま。

 多数の中国漁船による日本や韓国海域での違法
操業問題は解決されず、米メディアによると、
今度はミャンマーで中国人による森林の違法伐採
疑惑が表面化した。

 腐敗に挑む正義の剣を掲げたように見える習
体制だが、デモなど民主化運動に対する監視の目
は厳しい。

 反腐敗運動の本質はやはり、習指導部の権力
基盤と国益の拡大なのか-。

 


■大物財界人に死刑執行

 2月初旬、新華社通信は、殺人や銃密輸などの
罪で起訴されていた中国の大物財界人の劉漢
・死刑囚の死刑が執行されたと伝えた。

 劉氏は、オーストラリアの資源探査会社の買収
提案をしたことで知られた四川漢龍集団の会長だ
った人物だ。

 新華社は、劉氏と弟の龍雄氏らが二十数年前に
組織した犯罪集団が9人を殺害したほか
「国家のために働いていた官僚らを引き込み、
腐敗させた」と断じた。

 劉氏は、四川省の大地震の被災地に学校を建設
するなど慈善活動にも積極的だったが、失脚した
中国の元最高指導部の周永康氏とのつながりが深
く、周氏の権力基盤を支えていたといわれる。

 死刑は、反腐敗運動を推し進めていく、習近平
指導部の強い意思を印象付けた。




■“標的”は金融業界にも

 これまで、反腐敗運動の切っ先は、周氏の影響
力が強かった石油などエネルギー業界を中心に向
けられてきたが、英紙フィナンシャル・タイムズ
は今月「金融業界にも広がっている」との見方を
伝えた。

 胡錦濤前国家主席の側近に関連する捜査で中国
民政銀行の頭取が逮捕されたのに続き、北京銀行
は2月2日、取締役が「重大な規律違反」の疑い
で取り調べを受けていると明らかにした。

 反腐敗運動を担う党の委員会に、金融機関を
ターゲットにした部署を新設したとの現地報道も
あり、取り締まりの対象は広がる気配だ。

 


■政治指導者の資産公開求めてデモ…「懲役刑」

 習指導部の反腐敗運動のゴールはどこにあるの
か。

 海外メディアの関心も高い。

「クリーン(清潔)な政府の永続モデル」かある
いは、「政治権力闘争の兵器なのか」-。

 フィナンシャル・タイムズはこう疑問を呈した


 同紙は「兵器に過ぎない」との見方を強める
裁判が始まった指摘。

 中国の政治指導者の個人資産の情報公開を求め
る小規模なデモを行った政治運動家が
「群衆を集めて公共の秩序を乱した」との容疑が
かけられ、すでに同様の要求をした活動家数十人
には、複数年の懲役刑が下されていると報じた。

 権力者に面と向かってモノ申すことが命懸けで
ある中国のお国柄は、なんら変わっていない。




■ミャンマーでは「賄賂」を渡して違法伐採?

 また国境を越えた中国人の違法行為になると、
摘発の熱意はまったく感じられない。

 昨年は200隻以上の中国漁船が押し寄せた
小笠原諸島近海のサンゴの密漁事件が日本を騒
がせたが、韓国では恒常的な中国漁船の密漁に
より、水産資源の枯渇を危ぶむ声が強まって
いる。

 聯合ニュースによると、韓国と北朝鮮の
排他的経済水域(EEZ)とその周辺で操業
する漁船は、毎年少なくとも3千隻。中国船に
よる漁は年間1600隻を認めているが、それ
を大きく上回る規模だ。

 4月のワタリガニ漁の季節になると大挙して
押し寄せ、海上警察の取締船が近くにいない隙
に韓国側水域に侵入をはかる。

 こうした状況は中国当局は、当然知っている
が、抜本的な取り締まりの手は打たれていない


 違法行為は海域だけではない。米ラジオ局
ボイス・オブ・アメリカ(電子版)によると、
今度は森林の違法伐採で中国人が数十人規模で
逮捕された。

 1月5日のミャンマー軍の発表によると、
伐採用の重機のほか、興奮剤やアヘン、人民元
を積んだトラックが押収された。

 中国と国境を接するカチン州南部の現地では、
中国人が地方政府や武装勢力に「賄賂」を渡し
て、伐採を見逃してもらうように働きかけて
いたとの証言がある。




■中国の腐敗認識指数は20位ランクダウン

 果たして中国は腐敗なき、清廉な国家に近づ
いているのか。

 ドイツに本部を置き、汚職・腐敗防止への
世界的な啓発活動を続ける非政府組織(NGO)
トランスペアレンシー・インターナショナルが
昨年末に発表した2014年の「腐敗認識指数」
によると、中国は175カ国・地域中で100
位(36点=点数が低いほど清潔度が低い)と
下位に置かれた。

 ちなみに日本は今年、15位(76点)で、
韓国は43位(55点)と中国よりは上位に
ある。

 中国は、前年80位(40点)で、反腐敗
運動にもかかわらず、ランクが大きく落とす
結果になった。

 分析では、自由なメディアの存在や政府の
説明責任などの社会的透明性が十分に確保でき
ていない状況でのトップダウン式の取り組みで、
どう反腐敗運動の効果を見出せるのか、疑問を
投げかけられた。

 不正の摘発を進める習指導部だが、その善し
あしを評価するのも同じ体制。

 権力の掌握に向けて、知られ得ぬことが多い
まま黙々と粛正が続けられていく構図は、過去
の中国と違わない。反腐敗運動の狙いの本質が
疑われる所以である。





中国は、中国です。変わる事は、無いでしょう


自らの事が、出ないだけの事で、一番、腐敗して
るのは、習さん自身だったりして。