閉ざしていた土を崩して、8か月ぶりに水路の水を引き入れます。

水が来た!

すっかり田んぼは、畑の世界になっています。
いきなりの浸水に土の中の生き物たちは大慌て。
急いでの引っ越しになります。



目に入るのは、ほんの一部かもしれません。
水面をオケラが平泳ぎで岸に一生懸命向かいます。
土の中からミミズが畔を登って行ったり。
虫たちにとってはちょっと大変。

そんな姿を横目で見ながら、
鉄車輪に付け替えた耕運機がゆっくり土の塊を押し込んで泥にしていきます。

こうして「代かき」をして、土を柔らかくし、かつ水が保てる土にしないと、苗が植えれない大事な作業です。

この作業で虫が出てくることを、
このあたりの野鳥たちもよく知っていて、
どこから見ているのか集まってきます。
さっきまで一羽だけだと思っていたムクドリが、知らぬ間に10羽ほどに増えていたり、
セキレイや、カラス、まれには普段ほとんど降りてこないトンビまで
やってきたりします。
そしてお目当てに夢中。



最初はこちらの耕運機との距離をけっこう保っているのですが、
夢中で食べ始めると野生を忘れる様子で、2メートルほどにまで近づいて、びっくり顔で逃げたりします。

広い田んぼの泥の中を歩きながら機械を押していく作業は
体力も必要で汗もかきますが、こんな出会いがあると少しだけ和みます。



そして、すっかり伸びたスズメノテッポウなどの畑の草を泥の中に押し込んでいきます。

 


土の表面がふかふかのベットになったら、いよいよ田植えです。


今年の春は気温の低いときが幾度もあり、苗の成長がゆっくりで、
このまま大きくならないのではと心配が続いて。



それだけに田植えできる背丈になってくれた時はホッとしました。

3月中旬に種もみを水に浸し始めて、2ヶ月。
田んぼに植えられた幼苗を案山子が見つめています。