田んぼは苗を植える前に、代かきと言って土と水を混ぜて泥にこねます。
この時に今まで生えていた草はほとんど刈られて泥の中に消えます。
何もなくなった代かき後の表土に、稲の苗を植え付けるので稲が優先的に育ちます。
でも、自然は手ごわい。
稲よりも遅く発芽しながら、稲よりも早く実をつける「ヒエ」。
水中の酸素が少ない環境を好んで発芽する「コナギ」。などなど。
土の中には何万・何十万もの種がひしめき合っていてしかもじっと何年も自分の発芽できる環境になるまで待ち続けています。 発芽して育ち始めたら野生には勝てません。
では、どうしたら草が育たないようにできるか。試行錯誤ですが、
稲の苗を植え付けて4日後にチェーンを引き始めます。
長さ2メートル弱の棒に3センチ間隔で隙間ないようにチェーンを結んであります。
これを引いて歩きます。
植えつけて根を出し始めた20センチにしかならない稲の上を、これが押し倒して通ります。
最初は、倒されて水面に横になる稲の姿を見たときは不安になりました。
でもしばらくすると起き上がってきます。 翌日にはピンピンしています。
稲も植えつけて3日もすると自分でも根を伸ばし始めるのでけっこう丈夫です。
草にまけないように過保護には育てません。
このチェーンが発芽したばかりの、まだ人間の目にははっきり見えないような小さな草の芽をさらってくれます。 この段階の幼い草には有効ですが目ではっきりわかるような双葉になったら、もうとれません。
一歩足を出すと、オタマジャクシがさーっと逃げていきます。 水カマキリやコオイムシも現れます。
6月末まで、週に一度田んぼを無心で歩きます。
植えつけて2週間後の稲です。