相変わらずのモチベ低下で、山歩きが少しおっくうになっている最近。
山が遠くなっているのは、花粉が飛び始めたと言うこともあります。キョロキョロ


歩きたいところも特に浮かばないので、山と高原地図の「西上州」を眺めていたら、少し気になる文字を見つけた。
四ツ又山の天狗峠の南、主稜線上に「行者像」の文字が…。

四ツ又山に行者像ってあったっけな?と思い、それの確認と主稜の石仏巡りをしてきました。石仏に会うために頑張って登るということででモチベーションをアップ。
意外と雪があって歩きずらかった。でも、冬の澄んだ青い空の下、山上の石仏たちはより魅力的に見えた。






2/20 くもり晴れ


早朝、下仁田から鏑川の向こうに眺める四ツ又山。

左が四ツ又山、右は鹿岳。

この日も南牧村の道の駅の地下駐車場へ車を置いて歩く。


南牧川の小沢橋を渡って、野々上の集落から歩く。

野々上のサイン。


野々上の集落内、道沿いで見かけた大天狗小天狗。

すでに四ツ又山の世界は始まっていた。キラキラ

浄水場の横から入る。


不動の滝。水量は少ない。

集落内の大天狗小天狗、不動の滝、この先の行者像、風早尾根と呼ばれるこちら側が四ツ又山の表参道だったのかなと思う。

おっ!これは今期のだろうか?ムズムズしてきそうだ。

ガーン

沢沿いの道から主稜へ乗る。


植林が終わり明るくなった。主稜に入ってから尾根の雪は徐々に増える。


ここがゼンメイアタマと呼ばれるピーク。720m圏。

ここから先はさらに雪が増える。

冬枯れの向こう、右に四ツ又山、左に鹿岳。


思っていたよりも尾根の雪は多くて大変。


天狗峠へ向けてぐっと下っていく。


山と高原地図に示されていた地点よりも峠に近い尾根上に行者像があった。

完全に普寛行者です。御嶽マークも付いてます。

この四ツ又山は御嶽山であることがハッキリした。
優しそうな表情の普寛行者。

明治3年、山本講中によるもの。

そこからわずかで天狗峠へ到着。

群馬県の群馬百名山紹介ページに麓の方の手記があり、この天狗峠には修行者の山小屋があったとのこと。小屋で休んでみんな山頂を目指したという。

峠の大木の根元に大天狗と天狗のレリーフ。


大天狗。

願主は千原村。南牧川沿い道の駅より少し上流の集落のようだ。

天狗のレリーフ。


天狗峠から先、鹿岳がよく見えるようになる。

鹿岳はどこから眺めてもそれとすぐにわかるのが良いところ。

鉄剣を持った山頂手前の不動明王。

すごい形相の割に体躯はスリムで華奢なところが良い。
不動明王はなぜがリアルじゃない体の方が似合うんです。不動の最高峰、東寺のもそう。

頭上の蓮華と大きな耳にかけたボリュームある弁髪も良い。


ほどなく山頂。


山頂には八海山大頭羅神王。

ドラゴンボールに出てきそうでしょ??

鹿岳を見ているかのような感じで。

ほんとうは木曽御嶽山の方を見ているのかもしれない。

次のピークへ向かう途中もなかなかの雪。


御嶽山座王大権現。

明治2年の山本講中とあるから、普寛行者像はこれより1年後。

座王大権現は猫背のような前かがみの姿勢が特徴。

言い方はわるいけど、この幽霊みたいなたたずまいがとても神秘的。
基壇も含めてよくこの重いのを山上へと運んだなと。しかもこの痩せ尾根を。

座王大権現のピークの手前には巳待塔、烏天狗、不動明王が居る。


巳待塔。


大空へ羽ばたきそうな烏天狗。


後姿はペンギンのようでかわいらしい。

この烏天狗はどこか寂しそうな表情をしていて、登ってくる人を待っているみたい。

不動明王は小ぶりなんですけど、火焔や弁髪の造りもしっかりしている。

意志の強そうな童子のような表情。

少し進んで振り返ると、先ほどの御嶽山座王大権現の前傾した姿がピーク上に小さく見える。

背後のトンガリは稲含山。

次のピークの先端には石宮。

この石宮は正面から拝もうとすると滑落する。あせる
表に回れないので、何を祀った石宮なのかは不明。

同じところには三笠山刀利天宮。

これで御嶽三座神が揃った。

日射しを浴びる刀利天宮。

あごから伸びる線は長い髭を表していると思います。
藻類が乾燥して白くなっているのが山上の神様らしい。

浅間山のガスがだいぶ取れた。

浅間の左に尖っているのが去年歩いた剣が峰

相変わらずこんなので慎重に歩きます。


この一番北側にあるピークには、帝釈天を祀った石宮。


展望抜群です。下仁田、富岡方面を眺める。


ギザギザは妙義山。表妙義が見えてます。

左背後に目立つふたつの山は、鼻曲山と浅間隠山。

妙義の右奥には榛名山塊。いわゆる榛名山。


鹿岳がずいぶん近くに見えるようになってきた。


正面に鹿岳を眺めながら雪の尾根道をマメガタ峠まで下りる。

このあと少し雪が舞いました。雪の結晶

マメガタ峠の鞍部。

直進すれば鹿岳ですが、左へ曲がって大久保の集落へ下ります。

峠からはよく踏まれた植林の道を行く。


石垣が南牧村らしい風景。


沢口川の渓谷を左に見ながら集落まで下りてきました。


四ツ又山と言ったらこれがマスコット。


大久保からは、大塩沢川沿いにひたすら舗装路を歩いて戻る。

南牧村なので道端の石仏を観ながら楽しく歩ける。

周辺の地図。


マッターホルンも見える。

去年断念したところが見えるな~。小沢岳。

庚申供養塔や馬頭観音、巳待塔などが寄せられている。


道端の石仏石塔で一番気になったものと言うと…。
これ。

無如意輪観世音???
片膝立てて思惟のポーズなんだけど、「無」と言うことは、思惟していないということ?
それとも無の境地だよって?
深く考え込まずに気楽に行こうぜー!的な感じかな?
この間亡くなられた瀬戸内寂聴さんっぽく見えるんだけれど。

馬頭観音。


材木が置いてあって近づけなかったけど…。
中央と右は馬頭観音、左は摩利支天。


熊野神社の入り口にあった立派な二十三夜塔。

表には観音様も彫られている。

熊野神社裏手の住吉の滝。


道の駅へ戻ってきました。




南牧村へ来ると、どうしてもマニアックな山歩きになってしまうな…。てへぺろ
歩いている本人は楽しいんですけどね。
行者像は普寛行者で丸三マーク(御嶽マーク)、四ツ又山が御嶽山だとわかり歩いてスッキリした。尾根伝い隣の鹿岳には摩利支天があるし、四ツ又山、鹿岳で御嶽山の世界を表現しているようだ。
近くの下仁田側の秋葉山といい、金剛萱といい、山上の石仏群が素晴らしい。きっとこの周辺では江戸後期から明治初期にかけて、御嶽信仰の一大ムーブメントがあったんだろう。御嶽が祀られていない山を探す方が難しいくらい。
四ツ又山にはお不動さまがふたり、近くの不動寺の影響もあるのだろうか?

そして、なんと言っても天狗。大天狗、小天狗、烏天狗に修験者の影を見る。座王大権現の手前にある烏天狗は秀逸です。