1 人に好かれる6原則

 前回は,デール・カーネギーが提唱する「人に好かれる6原則」の前半を紹介しました。

 (1) 誠実な関心を寄せる

 (2) 笑顔を忘れない

 (3) 名前を覚える

 

2 人に好かれる原則

 

 (4) 聞き手にまわる

 カーネギーは多くの事例を紹介しています。

 デトマー毛織物会社がまだ小さかった頃,売掛金が少し残っている顧客に対して請求書を何度も送っていました。その顧客は,そんなはずはないと腹を立てて,どなり込んできました。そして,今後は一切デトマー社とは取引しないと言い切りました。

 

 デトマー社長は,顧客の話をじっと聞いていて,途中何度か,言い返そうと思いましたが,それは得策でないと思い返して,言いたいことをすべて言ってもらいました。

その上で,「わざわざ本社まで来て頂き,なんと御礼を申し上げてよいか分かりません。本当にいいことを聞かせて頂きました。係の者がそういうご迷惑をあなたにおかけしているとすれば,まだ他のお客様にも迷惑をかけているかもしれません。」と言いました。

 

 その顧客は少々拍子抜けしたようです。デトマー社長はさらに続けました。「私どもの事務員は,何千という取引先の勘定書を扱わなければなりません。しかし,あなたは几帳面な上に,勘定書は私どもからの分だけを注意していればいいわけで,どうも間違いはこちらにあるように思います。売掛金の件は取り消させて頂きます。」

 

 その後,デトマー社長はその顧客を昼食に誘いました。一緒に昼食を済ませて会社に戻った頃には顧客は機嫌を直し,これまでにないほどの大量の注文をして帰って行きました。

 

 カーネギーは,人に嫌われたかったら次のことを守るとよいと言っています。

 

 ① 相手の話を決して長くは聞かない。

 ② 終始自分のことだけをしゃべる。

 ③ 相手が話をしているときに意見があれば,すぐに相手の話をさえぎる。

 

 (5) 関心のありかを見抜く

 セオドア・ルーズベルトは,どんな相手に対してもその人に適した話題を豊富に持っていて,ルーズベルトを訪問した人はみな,その博識ぶりに驚きました。

 

 それは,ルーズベルトが事前に相手の関心のある話題について調べていたからです。相手が深い関心を持っていることを話題にすることで,その人の心をとらえることができるのです。

 

 私たちは自分の関心事について話をしがちですが,相手の関心に注意するようにしたいと思います。

 

 (6) 心からほめる

  カーネギーは,ほめることの素晴らしさを紹介しています。

 まず,ほめることで相手を幸せな気持にします。お金もかけずに相手の心を明るくすることができます。

 

 次に,ほめることで相手はあなたを好きになります。あなたのために何かしてあげたいと思ってくれるのです。

 

 相手をけなすことは,ほめることの反対ですから,してはなりません。レストランで注文した料理と違うものが出されたとき,「私が注文したものと違いますよ。どうなっているんですか!」などと言う人がありますが,これは間違っています。

 

 店の人の機嫌を損ねたら,もう美味しい料理は期待できません。また,たとえ美味しい料理が運ばれてきたとしても,腹を立てて文句を言った後には,美味しく食べられないものです。

 

 「申し訳ありません。私は○○を注文したつもりだったのですが,言い方が悪くてうまく伝わらなかったのだと思います。」と言うようにしましょう。

 

 人間は機械ではありません。言い間違い,聞き間違い,勘違い,記憶違い,物忘れは日常茶飯事ですから,ミスがあるのは当たり前で,お互い様でもあります。

 

 相手を非難してミスがなくなるのであれば楽なことですが,実際は逆効果の場合が多いのです。

 

 続きは以下です。