石原燃 著、文芸春秋、2020年

 

[あらすじ]

千夏は、亡き母の友人の芽衣子さんとブラジルにやってきた。芽衣子さんと母親の恭子は、恭子が骨折した時、手伝いをしてくれ、それから友人となっていた。

芽衣子さんは、ブラジルのサンパウロ州のミランドポリスにある、ヤマと呼ばれる日系人の経営する農場で生まれ育ち、20歳の時、ヤマに来ていた日本人と結婚し、日本に移り住んだ。

二人が、今回ミランドポリスに来た理由は、芽衣子さんは、日本に帰化申請をする手続きのため、千夏は、母が生前、行きたがっていたブラジルを見るためだった。

ヤマでの、芽衣子さんの親族との触れ合いが描かれる中で、千夏と芽衣子さんの過去が回想されていく。

 

[感想]

恭子と芽衣子さん、千夏のと芽衣子さんの関係が素敵である。

これからの時代は、こんな風に手助け(介護?)を通じて知りあった人たちの友情が描かれることが増えていくのだろうと思った。母の過去と芽衣子さんの過去、それぞれ共通点があり、二人は、自分たちの過去のこと、今の悩みを話しあえる関係になっていく。

 

「ヤマ」というものを初めて知った。辞書で「ヤマ」を調べたが、載っていなかった。

小説の中の「ヤマ」は、この土地の日系人の共同体のことで、共産主義に近い思想で運営されており、芽衣子さんのいたヤマは、彼女の両親たち五家族でヤマを作り、多いときで300人、今は60人ほどで共同生活をしている、と書かれている。ヤマのメンバーは、コジーニャと呼ばれる食堂で、食事をしたり、おしゃべりをしたりする。

ブラジルの日系人はこのように生活していた人々が多かったのだろうか。

巻末の参考文献に、北杜夫著の『輝ける碧き空の下で 第二部』が載っており、これはブラジル移民についての話のようなので、読んでみたいと思った。

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[コロナの影響メモ]

相変わらず、大学生はリモート授業。

授業は、家でもよいのだけど、家にいると家事をしてしまったり、家族としゃべってしまったりで、課題が全然はかどらず、結局、徹夜し、当日の明け方に仕上げるといういう不規則な日々。

若者じゃないんだから、こんなことをしていては倒れてしまうと思い、これから勉強するという気持ちをつくるために、最初は、珈琲を入れてから勉強を始めていた。でも、あまり珈琲を飲むと胃が痛くなる。

そこで、今度は、読みやすい本を手元において、少し読んでから、難しいものを読む作戦に。

読みやすい本から難しい本へは、脳にとっては良いみたいで、最初ははかどっていた。

けれど、続けているうちに、小説がどんどん読みたくなるし、忘れないうちにブログに書こうなんて思い、書くので、こっちに時間がとられすぎる。

やはり、とにかく机の前に座る→ペンを持つ→すぐ課題を始める、という王道の方法が一番なのか。