ことり (朝日文庫) ことり (朝日文庫)
626円
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小川洋子 著 2016年

【あらすじ】

人間の言葉を話すことを止め、独自の言語を話すようになった兄。その言語を理解できるのは弟ただ一人。兄は、鳥を愛し、鳥のさえずりを理解する。そんな兄を理解しようとしていた母が亡くなり、兄を避けていた父も亡くなり、兄弟二人でだけで暮らすようになる。弟は金属会社のゲストハウスの管理人として働き、兄は家で缶詰のスープを温めて弟を待つ。二人は、昼は庭に来る鳥の声を聞き、夜はラジオに耳を傾けるという、質素だが満ち足りた生活を送っていた。だが、兄も亡くなり、弟は近所の幼稚園の鳥小屋を掃除するようになり、小鳥の小父さんと呼ばれる。

【感想】

先日人間ドックに行きました。人間ドックの待ち時間に読む本は、病気や殺人事件の出てこない穏やかな本に限るので、この本をセレクト。しかし、いきなり書き出しが、「小鳥の小父さんが死んだ時、」で、ん?セレクト失敗か?と思ったけれど、小父さんの死から始まり、幼少、青年、壮年、老人となっていく様子を描いた話だったので、大丈夫でした。

兄の「うん、小鳥は僕たちが忘れてしまった言葉を喋っているだけだ」と言うセリフ、作者は、『風にのってきたメアリーポピンズ』に出てくる、双子を意識して書いたのかな? 双子のジョンとバーバラは一歳前には、ムクドリの言葉を理解できたのに、誕生日を迎えたら、まるで理解できなくなっていて、ムクドリが悲しむというくだりです。

『ことり』の中の音楽や鳥に耳を傾ける人々の描き方が好きです。そして、小鳥の小父さんが人との出会いと別れを繰り返す様子に、人生ってそういうことを繰り返して終わっていくのかな、とせつなくなりました。

 

昨年のことですが、朝6時頃起きて、隣の家を見たら、こんな鳥が屋根にとまっていて、びっくり。

何枚か撮っているうちに、優雅に羽を広げてゆっくりと川の方へ飛んで行きました。

『ことり』に合う写真がないかなーとスマホを探したら、これを見つけたので、載せました。全然「ことり」じゃないですがウインク