ギャスケル全集〈2〉メアリ・バートン―マンチェスター物語/大阪教育図書

『メアリー・バートン──マンチェスター物語──』エリザベス・ギャスケル著/直野裕子訳

登場人物 
ジョン・バートン……織物工場工員。
メアリー・バートン…ジョン・バートンの娘。
ミセス(メアリー)・バートン…メアリー・バートンの母。
エスタ……ミセス・バートンの妹、行方不明になる。

ジョージ・ウィルスン……ジョン・バートンの親友。
ジェイン・ウィルスン……ジョージ・ウィルスンの妻。
ジェム・ウィルスン……ジョージ・ウィルスンの息子、工場の職工長。双子の弟がいたが二人。
           とも幼くして亡くしてしまう。
アリス・ウィルスン……ジョージ・ウィルスンの姉。信仰深く、面倒見が良い。
ウィル・ウィルスン……アリス・ウィルスンの養子。

ミセス・シモンズ……メアリー・バートンがお針子見習いとして働く店のオーナー。

マーガレット……メアリー・バートンの友人、歌が上手。
ジョウヴ・リー……マーガレットの祖父。博識。

ジョン・カースン……織物工場主。
ハリー・カースン……ジョン・カースンの息子。

バートン一家とウィルソン一家は仲が良く、お互い助け合って生きてきた。しかし、心を許していたミセス・バートンやジョージ・ウィルスンが亡くなり、周りの人々の窮状を見ているうちに、ジョージ・バートンは労働者の救済運動にのめりこんでいく。ある日、ハリー・カースンが銃で殺される。ハリーは以前メアリーと付き合っており、ジェムがメアリーを愛しており、殺害に使われた銃がジェムのものだったので、ジェムが犯人だとして裁判にかけられる。メアリーは、ジェムを助けるために、ジェムのアリバイを証明すべく奔走する。

今、英国のビクトリア朝小説(とくに女性作家)にはまっているので、忘れないように登場人物もメモしました。(『分別と多感』のように読んだことさえ忘れたら最悪だし。)
面白かった~。エリザベス・ギャスケルを読んだのは『ルース』に続いて、二冊目ですが、『ルース』よりも『メアリー・バートン』の方が、好きです。

当時の労働者階級の悲惨さもわかるし、人物描写も面白い。

メアリー・バートンの性格も好きですが、ジェイン・ウィルソンの性格も好きです。
彼女は、家族を喜ばせるのが好きで、準備をするのですが、自分が予想した時間より家族が遅く帰ってくると「たちまち叱りとばして鬱憤を晴らす。そのために、どんなに貧しくても家庭に常にあるべきなごやかな雰囲気を台無しにしてしまう」(直野裕子P401)
自分でも自覚していて「わたしゃときどき気むずかしくなるが、癇癪を起こしているときだって心はやさしいんだよ。」(直野P418)と、将来の嫁メアリーに言う。しかし、メアリーが触れて欲しくない過去の事については、決して触れない。ちょっと大変かもしれないけど、尊敬すべきお姑さんです。