〈徒弟〉たちのイギリス文学――小説はいかに誕生したか/岩波書店

原英一

イギリス小説の勃興のについての考察の書。イギリスの文学ジャンルが演劇から小説へ移行していく様子を、200以上の芝居を20年に渡って読んだ作者が分析しています。

サブタイトルに魅かれて読みました。芝居の話が多く、私は、芝居を読んだことがなく、わからないことだらけだったのですが、目から鱗の文書がたくさんありました。以下、本の内容から。

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「そもそもイギリス小説とは何だろうか。最も典型的な作品は、」『ウェイヴァリー』『高慢と偏見』『ジェイン・エア』『虚栄の市』『ミドルマーチ』『エゴイスト』などで「個人と社会の間に生じるさまざまな葛藤を精緻なリアリズムで描き出す文学である、」

「ルネッサンス期以来、演劇は時代を映す鏡であり、社会、経済、文化の諸問題を表現する文化的媒体だった」

「18世紀にイギリス演劇が急速に衰退するのと同じくして小説が勃興したこともあまりに明白な事実である」

「徒弟の多くは農業従事者での子弟であっただろう。それが」、都市に出て来て親方と契約を結ぶ、そして「通常七年間の年季奉公を無事終えれば、ギルド制の中で出世していく道が開かれる」

年季奉公を終えて「フリーマンとなったロンドン市民たちは、文明への志向という人間性の根源にある矛盾を最も強く経験した最初の近代人たち」であり、「そこに市民の文学が生まれ、それがやがて小説という新しいジャンルへと変容していく」

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もっとたくさん付箋を貼った箇所があるのですが、そこだけ抜き出して書いて、作者の意図と違うものになってしまってはいけないので。

ところで、日本の小説って、何から移行して小説になったの?
「源氏物語」が最初?「源氏物語」以前は何?と思い、うちの高校生に疑問を投げかけてみた。「日記だろ」という返事。

確かに
『土佐日記』→成立は935年ごろ
『源氏物語』→文献初出は1008年
あらほんとだ。

じゃあ『竹取物語』は?
Wikipediaによると、『源氏物語』「絵合」巻に「物語の出来はじめの祖なる竹取の翁」とあることから遅くとも10世紀半ばまでに成立したと考えられている。通説は890年代後半。

ちなみに『万葉集』が編まれたのは7世紀後半から8世紀半。

関係ない事に発展し、すみません。自分のノート代わりです。