灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)/河出書房新社


ジーン・リース著 小沢瑞穂 訳

シャーロット・ブロンテ作の『ジェイン・エア』に出てくる、ロチェスターの狂気の夫人、バーサをヒロインにして書かれた物語。作者はバーサと同じ西インド諸島生まれの作家、ジーン・リース(1890~1979年)。

第一章 クレオール(西インド諸島、南米などに移住したスペイン系白人の子孫)ゆえに困難な生活を送ったバーサの子供時代とその後の修道院での生活を、バーサの一人称語りで描く。

第二章 父や兄に騙され、バーサと結婚し、僅か一週間で結婚生活が破たんし、バーサを裏切り、一緒にイギリスに行くまでをロチェスターが語る。

第三章 バーサの看護役グレース・プールについて、そしてバーサが火事の家から飛び降りるまでをバーサの語りで描く。


第一章、第二章は、『ジェイン・エア』のもう一つの話だと思って読むと、非常に読みづらく、登場人物がわかりにくい。第三章になると、わかりやすくなり感情移入ができた。

巻末の池澤夏樹氏による解説を読むと、この物語の書かれた背景、ドミニカ国の歴史、作者の詳細が驚くほどよくわかり、大変面白い。

この本には他に、ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』も載っているが、まだ読んでいないので、それについては、後程書くつもりです。